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“機長も共に”ラストフライト ANAのスーパードルフィン、25年の活躍に幕
「スーパードルフィン」の愛称で親しまれたANAウイングスのボーイング737-500型機がきょう14日、ラストフライトを迎えた。
ボーイング737-500型機は1995年に当時のエアーニッポン(ANK)が導入し、同年7月に福岡〜鹿児島線で就航を開始した。全長31メートル、全幅28.9メートル、全高11.1メートルのずんぐりとした機体で、地上との空間を保つためにエンジンカウル(カバー)が楕円形になっていることが特徴だ。
「スーパードルフィン」の愛称はANK時代に社内公募され、小回りがきくイルカのような機体であることなどから名付けられたという。エンジンカウルにはイルカのマスコットキャラクターがあしらわれており、2019年からは退役記念の一環として、当時現役だった3機のイルカの手元にそれぞれ異なる3種の花束が描かれた。
最盛期には25機が運航され、四半世紀に渡って福岡空港を中心とした地方路線で活躍してきた「スーパードルフィン」だが、老朽化とともに後継機のボーイング737-800型機などへの置き換えが進んだ。2018年に退役したJA301Kは、整備訓練用の機材として整備士育成に役立てられている。
きょう14日まで残った最後の1機はJA306K。1999年4月27日に製造され、ラストフライト前日の6月13日までに約47,765回、約45,964.4時間飛行した。エンジンカウルのイルカが手にする花束は青いスイートピーとカスミソウで、それぞれ「門出」や「優しい思い出」、「感謝」や「幸福」の花言葉があるという。
ラストフライトとなった福岡発東京/羽田行きのNH254便は乗客127人(幼児1人含む)を乗せ、満席で午後1時15分に福岡を出発。午後2時51分に羽田に着陸し、同3時3分にスポット82番に到着した。
羽田では、「スーパードルフィン」引退へのメッセージが寄せ書られた横断幕を掲げたスタッフが到着を出迎えた。降機した乗客はほとんどが航空ファンと見られ、名残惜しそうにエンジンカウルのイルカなどを写真に収めていた。
この「スーパードルフィン」のラストフライトを担当した大山聖二機長は、実はこれが自身のパイロット人生としても最後のフライトだった。過去にはYS-11やボーイング737-200型機にも乗務していたという大山機長は、同737-500型機には導入とほぼ同時に乗務を開始。「スーパードルフィン」のデビューから引退までの25年間を共にした。
▲「スーパードルフィン」とともにパイロット人生を歩んだ大山聖二機長
パイロット人生と「スーパードルフィン」の商業運航、共に最後を迎えたこの日のフライト。大山機長は、「とにかく福岡でも羽田でも、ファンの方々の数に圧倒された」と雨の中展望デッキを埋め尽くした大勢の航空ファンに目を向け、「梅雨前線で少し揺れたが、上空37,000フィートは概ねスムーズだった。お客様も喜んで降機され、私にとって非常に思い出となるフライトだった」と振り返った。
「信頼性があり、離着陸性能もよい。北は利尻空港から南は石垣空港まで、全て飛行できる飛行機だった」と「スーパードルフィン」の活躍を評した大山機長。「737-500のおかげで日本中の様々な景色を見られた」とねぎらうように話し、機長としてのキャリアにピリオドを打った。
▲メッセージを寄せた横断幕を持ってNH254便を出迎えたスタッフ