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ANA、武漢チャーター便運航で外務大臣から感謝状 社員5人が初便の様子語る
新型コロナウイルス感染症が拡大する中、中国湖北省武漢市からチャーター便を運航した全日本空輸(ANA)は6月23日、在留邦人の帰国支援に貢献したとして、茂木敏充外務大臣から感謝状を授与された。航空会社として外務大臣から感謝状を授与されるのは初めてだという。
ANAは中国湖北省から帰国を希望する在留邦人の退避に際して、武漢から羽田へのチャーター便を1月29日から2月17日にかけて5便運航。合わせて828人が利用し、湖北省在住で帰国を希望する邦人全員が帰国した。
感謝状の授与式には、ANAの平子裕志代表取締役社長と、チャーター便業務に携わった武漢支店空港所の鶴川昌宏所長、初便機長の支倉暢彦氏、同便チーフパーサーの石黒麻里子氏、空港センター品質管理部の王申元氏、ANAエアポートサービス旅客サービス部の汲田茉莉子氏の5人の代表社員が参加し、茂木大臣から直接感謝状を受け取った。
授与式後、代表社員5人はメディアの取材に応じ、チャーター初便運航時の様子などを語った。
武漢空港での責任者を務めた鶴川所長は、ハンドリングの陣頭指揮をとりながら、自らも現場業務にあたった。チャーター初便は出発時間が直前まで確定せず、利用者は深夜の武漢空港で長時間待機することになった。当時は真冬にもかかわらず、飛沫防止のため暖房が停止していたという。そうした環境の中でも利用者からは、「応援しています」、「感染しないでくださいね」など、対応にあたるスタッフをねぎらう言葉があったといい、鶴川所長は「非常に勇気をもらった。原動力になった」と利用者への謝意を示した。
当初、現地時間午前3時頃の予定だった出発時刻は、管制上の理由で同4時57分になった。初便のチーフパーサーを務めた石黒氏は、機内の利用者の様子について、「お疲れの様子で、着席後すぐにお休みになっていた」と振り返る。そのため、離陸前に客室内を消灯し、アナウンスも極力控える対応を取ったという。感染防止のため利用者との会話は控えていたが、化粧室待ちの利用者などから「迎えに来てくれてありがとう」などと感謝の言葉をもらったと話した。
機長の支倉氏も、「私の力の及ぶ範囲内でフライトタイムを短縮する努力をした」という。利用者に対しては、都市封鎖された武漢での生活を労う言葉などをアナウンスした。
羽田空港到着時には、感染防止のため他便利用者との接触機会をなくすなど、特別な対応が必要となる。汲田氏は、この到着対応を第2ターミナルのサテライトを貸し切って行うことを提案した。サテライトは通常、国内線専用として使われている。CIQ施設がない場所で、利用者をいかにスムーズに迎え入れられるかが課題だったという。初便の対応では、「喫煙所や化粧室などに課題が残った」といい、2便目以降の改善につなげたという。
王氏は、中国での出国手続きなどにおける利用者のサポートを担当。通常と異なる手続きだったため、検疫官に止められる人もいたといい、通訳も担った。中国の空港での勤務経験も長い王氏は、在留邦人の気持ちを理解しながら対応することを心がけたといい、「これからも海外のお客様の不安を解消できるよう務めたい」と話した。
武漢から羽田へのチャーター初便は、現地時間1月29日午前4時57分に日本人206人を乗せて出発。日本時間午前8時41分に羽田に到着した。機材はボーイング767-300型機(機体記号:JA607A)が使用された。