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楽天もじゃらんも予約殺到で瞬殺… 都民割”狂騒曲”から見る制度設計の甘さ【コラム】
東京都民の都内観光を助成する「都内観光促進事業」(略称「もっと Tokyo」)を利用したプランは、各旅行会社などで順次販売を開始しているが、オンライン旅行会社を中心に販売終了が相次いだ。
特に10月30日に楽天トラベル、11月2日にじゃらんでそれぞれ助成額分のクーポンを配布したが、いずれも配布開始してから約1時間ほどで配布終了した。「都民割」に一体何が起きているのか、改めて分析してみよう。
人口や旅行会社数に対して、少なすぎる事業規模
今回の「都民割」、事業規模は400,000泊分であった。一見多い数に見えるが、盲点がある。
東京都の現在の人口は約1,400万人。仮に1人1泊に制限されたとしても、都民の35人に1人しか都民割を利用できない。都民割のプランを望んだとしても、それはあくまで35人に1人しかいない、学校のクラスで1人だけ…のような稀有な存在でしかないということになる。いくらなんでも想定が甘すぎるのではないか。
また、東京の旅行関連業の集中も見逃されているのではないか。公式サイトによれば、「もっと Tokyo」登録旅行業者数は484。オンライン旅行会社は23。宿泊施設数は1033。すべて合わせれば約1500の事業者が登録している。400,000泊を1500で割れば、1施設あたりの数は267泊になる。少し受付が集中すれば、すぐに使い果たされてしまう数だろう。
総じて、事業規模は「少なすぎる」と言わざるを得ないだろう。
「少なすぎる」のに何回も使える→予約殺到で瞬殺
この少なすぎる状況であるのに、何回も使える状況にした点でも、事業設計の甘さがある。例えば11月2日に配布したじゃらんのクーポンは、全て合わせて6,800予約分。予約数の制限がないため、1会員が平均5予約していたとしたら、約1,400人しか使うことが出来ない。流石にもう少し予約する人は多いと思うのだが…
旅行者は”儲かる”プランを求めているわけではない
都民割こと「もっとTokyo」はGo To トラベルキャンペーンとの併用が可能であった。このため、宿泊代金10,000円のプランを利用した場合、3,500円の「Go To トラベル」割引支援額と、5,000円の都民割で、支払い実額は1,500円。これに2,000円の地域共通クーポンが付くため、実質500円の儲けが出る計算だ。
たしかにお得であることは間違いないが、あくまで旅行者は宿泊しに行くわけであるから、10,000円の宿泊で「実質儲ける」ほどまでの支援の必要性はなかったであろう。それよりも、都民が平等に利用できるように、適切な支援額、支援条件の設定が必要であったと言わざるを得ない。
これらの問題点が露呈さえもしないほどの「瞬殺」
これらの問題点があるにも関わらず、幸か不幸かすぐに助成金枠が「瞬殺」されてしまうため、問題点が露呈しない。都民割を認知しているひとは多くいて、予約しようと試みる人もいるにも関わらず、一部の人しか予約出来ていないだけの状況。これが公共の事業でいいのか、疑問符がつくのは私だけだろうか。