ANA、受託手荷物の適用ルールを変更 日本発エコノミー「Light」運賃では1個に
非航空収入の拡大図る、ANAの”個性的な”オンラインツアー
コロナ禍で航空業界の先行きは依然として不透明な状況が続いている。ANAグループは昨年10月にビジネスモデルの変革を打ち出し、非航空事業の収益力強化を進めている。
ANAセールスでは昨秋、ウェブ会議サービス「Zoom(ズーム)」を活用して自宅で旅行の疑似体験ができるオンラインツアーの販売を開始。新潟県の酒蔵見学ツアー、横浜F・マリノスの応援ツアーを企画し、定員以上の応募を集めるなど人気を呼んだ。年末には続編として、客室乗務員が就航地のおすすめスポットなどを紹介しながら参加者とチャットで交流するオンラインツアーを造成。2020年12月から今年1月にかけて計4回開催され、100人以上が参加した。
航空会社に限らず旅行会社も独自のオンラインツアーを打ち出している中、「ANAグループらしい商品を」という思いで生まれたというこの企画を取材した。
「客室乗務員がおすすめ! ANA国内線・国際線オンライン巡礼旅」と題された今回のツアーの目的地はホノルル。現地でのステイ経験も多いという4人の現役客室乗務員がMC役のグループ社員と共に、毎回必ず訪れるというレストランなどを写真や映像を交えて紹介していく。スタジオはオフィスの一部屋に手作りしたセットだ。
ツアーを企画したANAセールス コミュニケーション戦略部の何苗さんは、「我々にしかできないオンラインツアーをやりたいと考えていた」と企画意図を話す。他社ツアーとの差別化要素を考えたとき、客室乗務員と連携して相乗効果を生むということを思いついたという。コンセプトやシナリオは、客室乗務員とオンラインミーティングの場を設け、現場の知識やアイディアをかけ合わせて練っていった。
ツアーの特徴は、単純にホノルルのおすすめスポットを紹介するだけでなく、合間に客室乗務員が自らフライト業務の流れを解説したり、荷物のコンパクトな収納術やハワイで役立つグッズを紹介するために、フライト時のスーツケースの中身を披露したりするシーンなどもあることだ。さらに、ホノルル線に就航するエアバスA380型機「フライングホヌ」の機内を紹介しながら機内アナウンスを実演するなど、まさに「ANAらしい」内容。チャットで参加者から募った質問に客室乗務員がフランクに答えるコーナーもあった。
出演した客室乗務員の一人は、「台本はありますが、実際はほぼアドリブで進行しています。そのライブ感によって、つくられた”CA像”ではなく、私たちの素顔を垣間見られることも特徴だと思います」と魅力をアピールする。実際に、客室乗務員を目指しているという参加者もいたという。
ツアー1回あたりの定員は30人。システム上は500人まで同時参加できるため、ツアー1回あたりの参加人数を増やせばその分売り上げも増えるが、今後も1回あたりの人数は30〜50人程度に抑える予定だという。何さんは、「あまり人数を増やすとお客様とのコミュニケーションが取りにくくなってしまいます。一人ひとりの参加者と向き合いたいと考えています」とあくまで参加者に満足してもらうことが前提だと強調した。
ホノルル編は1月で終了となるが、参加者からは「現地情報をさらに深く知りたい」、「機内設備をもっと紹介してほしい」といった声が寄せられた。今後は内容をさらにブラッシュアップし、新たな企画も打ち出していく予定だという。