ANA、羽田に駐機中の777で「機内食レストラン」 全国から参加者

ANAグループは3月31日、駐機中の国際線機材の客室で機内食を提供するイベント「翼のレストランHANEDA」を羽田空港で開催した。参加した56人が、実際の座席でファーストクラスやビジネスクラスの食事を楽しんだ。

国際線で使用しているボーイング777-300ER型機(機体記号︰JA782A)を羽田空港の第2ターミナルに駐機させ、実際のファーストクラスとビジネスクラスの座席を体験しながら、3月から5月までの長距離国際線で提供している機内食を楽しめるというもの。

初回の3月31日開催分は、午前11時30分からの昼の部と、午後6時からの夜の部が設定され、3月8日午前11時から先着順で販売された。価格はファーストクラスが59,800円、ビジネスクラスが29,800円とフライトのない機内食体験としては値が張るものの、ANAによると、受付開始から「1週間足らずで完売」。昼の部にはファーストクラスに8人、ビジネスクラスに48人の計56人が参加した。

▲機内食を楽しむ参加者

機内食は通常の運航便と同様、客室乗務員(CA)が機内のオーブンで加熱・盛り付けし、参加者に提供。メニューは事前に和食か洋食か選択できる。飲み物もシャンパンやワインなどを含め、実際に提供されているものをラインナップ。また、記念品として各クラスのアメニティーキットも用意された。さらに、機内食を製造するANAケータリングサービス(ANAC)のシェフが乗り込み、機内での食事の提供方法やメニューのこだわりをアナウンスで紹介した。

▲ANAマーケティング室 翼のレストランHANEDA プロジェクト責任者 山本卓史さん

企画を担当したANAの山本卓史さんは、普段はシステム関連の仕事を担当。「航空業界が厳しい状態だからこそ、楽しんでもらえる、わくわくしてもらえる体験を作り上げたい」とプロジェクトを立ち上げた。「いつか乗ってみたかったという声が特に多かった」というファーストクラスとビジネスクラスにあえて絞り、機内食を軸としたイベントを企画した。コールセンターや人材部門、セールス部門などグループ各社から有志を募り、約2か月で実現にこぎつけたという。

親子でビジネスクラスを利用した女性と小学生の男の子は、コロナ禍以降行けなくなってしまった海外旅行の気分を味わいたいと参加。女性は洋食、男の子は和食を頼み、シェアして楽しんだという。ANAの機内食は初めてという女性は「豪華で繊細。見た目も美しく、楽しめた」と感心した様子で話した。男の子は「特にデザートが美味しかった」とピエール・エルメ・パリとのコラボデザートが気に入った様子だった。

▲ビジネスクラスの和食

また、徳島県から親子で参加した男性と中学生の男の子は、飛行機が好きで以前からエアバスA380型機「フライングホヌ」のチャーターフライトに応募していたものの落選が続いており、このイベントが発表された日にすぐ申し込んだという。男性は「空調の音などで、巡航中の機内のような感じだった。シェフのアナウンスを聞きながら食べられたのがよかった」と満足そうに話し、男の子も初めて体験したビジネスクラスに「席も料理も格段に違う」と驚きの声をあげていた。

「翼のレストランHANEDA」は今後、4月14日、16〜19日、21日、23〜27日にも開催される予定。

▲イベントに参加したANAC和食調理部長の久保正信シェフ(左)、洋食調理部長の山田信吾シェフ。「普段はお客様と接する機会の少ない立場として、直接『おいしい』という言葉を頂いたときの嬉しさを改めて感じた」(山田シェフ)

▲機内食を準備するCA

▲参加者と交流する山田シェフ

▲ファーストクラスの洋食の肉料理メインディッシュ「和牛フィレ肉のグリル 神戸ワインマスタード風味」

▲ファーストクラスの洋食(肉料理)

▲ファーストクラスの和食

▲ビジネスクラスの洋食(肉料理)

▲ファーストクラスの提供ドリンク

▲ビジネスクラスの提供ドリンク

▲ファーストクラスのアメニティー

▲ビジネスクラスのアメニティー

▲搭乗案内の掲示板。昼の部はNH7771便、夜の部はNH7772便で、行き先は「フランクフルト」

▲69番スポットでイベントに使用されたボーイング777-300ER型機