東横イン、東横INN津田沼駅北口を閉店
最大4部屋しか販売しない、1泊1,500円で大浴場&エアコン完備の「三輝」【はんつ遠藤の大阪・西成C級ホテル探検(6)】
そして鍵を開け、部屋に入って、また僕は驚いた。広い!
縦長だが、3畳では全くなく、おそらく4畳以上の広さを保っている。洋室タイプでベッドがあり、ちょっとしたテーブル&椅子も。テレビも冷蔵庫も完備され、エアコンまで。
しかもエアコンはオンになっていて、温かいというより、暑いくらいだ。
歯ブラシは、なぜか2つ。それとバスタオル。
さらに、Wi-Fiも速度の問題も無く、無料で使用できた。
そして各階にはキッチンと洗面台、その奥にトイレがある。
昭和的な作りであるが、思ったよりもずっと清潔感がある。不思議なのはインターネットでは7階しか予約を受け付けていないとはいえ、20部屋ある。でも最大4部屋までしか予約できないという事は、あまり稼働させていないのだろうか。
そしてとても気になったので、言いつけを守らずに僕はこっそり6階を見に行った。7階だけピカピカで、他の階はおどろおどろしい事になっているのでは?という邪推は、着いた瞬間に打ち消された。
7階と全く同じ。もっとも、入居者は、ほとんどいないような雰囲気だった。
その後、僕は午後9時30分ごろに夕食などのために、また外へと向かった。
大阪市の飲食店は午後9時までの時短営業要請中ゆえに、さきほど営業していた店舗もシャッターが下ろされ、また飲食店は全く営業していなかった。路上生活者さんたちはすでに深い眠りについているのだろう、まるで深夜のような静けさがただよう。
そして、僕はいつもの如く、コンビニでお寿司&アルコールなどを購入し、部屋へ戻り、イヤフォンを用いてWi-FiでYouTubeの音楽を聴きつつ、食事を取ったり、Facebookをしたりしつつ、そのうち眠った。
あくる日、朝8時。シャワールームへと向かえば、すでに部屋の扉は開けられ、ちょうど誰も使用していなかったので、ゆっくりとシャワーを浴びることができた。こちらも清潔感があり、シャンプーやボディソープも完備。部屋には歯ブラシはあったが、使い捨てのシェーバーは無い。でもこれは、西成のホテルではよくあること。当然に、持参しているので問題は無い。
しかもチェックアウトが午前11時までOKなのである。これで1泊1,500円はお値打ち。ましてや大浴場も使用できたら、どんなに快適であろうか!
そう思った瞬間、僕は、ひとつだけ失敗したことに気づいた。ドライヤーが、無い。おそらくフロントが稼働している時であれば借りられるのであろうが、フロントはまだシャッターが下りたままだった。
仕方がないので部屋へと戻り、そしてすぐ、午前8時30分にチェックアウト。鍵は部屋にそのまま置いて帰るという、珍しいシステム。
西成の朝は、晴れていた。僕は髪が生乾きのまま、仕事へと向かった。
■プロフィール
はんつ遠藤
1966年東京生まれ。早稲田大学卒。不動産会社勤務を退職後、海外旅行雑誌のライターを経て、フードジャーナリスト&C級ホテル評論家に。飲食店取材軒数は1万軒を超える。主な連載は「週刊大衆」「Ontrip JAL」「東洋経済オンライン」など。著書は「取材拒否の激うまラーメン店」(廣済堂出版)など27冊