東横イン、東横INN津田沼駅北口を閉店
ソラシドエア、収益向上へ新たな貨物事業トライアル 宮崎の農作物を空陸一貫でスピード輸送
ソラシドエアは6月5日から、羽田空港近隣の川崎市殿町エリアに立地する川崎キングスカイフロント東急REIホテルで、「ソラシドマルシェ」を開催している。小口貨物を空陸一貫で輸送する新事業のトライアルを兼ねたもので、宮崎県から輸送した農作物などを販売する。
宮崎県と川崎市は行政連携「崎崎モデル」を締結しており、同ホテルではその一環として6月1日から30日まで「宮崎フェア」を実施。ホテル5階のレストランで、ソラシドエアが空輸した宮崎県産食材を使用したランチビュッフェを開催している。フェア期間中の毎週土・日曜には、宮崎県産の野菜やマンゴーやトウモロコシなどの農産物を1階ラウンジエリアの特設会場で販売する「ソラシドマルシェ」を開く。
ソラシドエアはコロナ禍による旅客需要の低迷を受け、新たな収入源となる事業を創出するための準備室を今年1月に設置。これまで主に全日本空輸(ANA)から受託していた貨物事業を拡大し、発荷主からの引き受けから着荷主への引き渡しまでを自社で一貫して担う「空陸一貫貨物輸送事業」に着手した。今回のマルシェはそのトライアルを兼ねており、この日販売された農産物は、前日にソラシドエアの社員が日向市の生産者から直接引き受け羽田空港まで輸送したものだ。3月にも川崎市内で同様のイベントを行っており、トライアルは2度目となる。
▲宮崎県日向市から空陸一貫輸送で川崎市に届けられた野菜や果物
ソラシドエアによると、空陸一貫輸送を手掛けるのは国内航空会社として初めて。事業を立ち上げた運送本部 新規事業準備室長の池田明史氏は、空陸一貫輸送の最大のメリットを「スピード感や時間短縮効果」と説明する。農作物などを九州から陸送する場合、当日中に配送できる地域は関西方面が限度だが、空陸一貫輸送では宮崎県で朝に収穫されたものを昼頃に都内で販売することも可能になるという。また、地元生産者からは「空輸のメリットは感じているが、空港まで持っていくのが煩雑」という意見も出ていたといい、輸送にかかる生産者の手間を省けるのもメリットの一つとなる。池田氏は「地元に育てられた会社として、地元に恩返しするのが大きな目的の一つ」と意気込む。
陸送には運送業許可が必要となるため本格事業化は未定だが、池田氏は「2022年度を目指したい」と目標を設定。事業化の際は、地元の直売所などから首都圏の物産館やアンテナショップなどへの拠点間輸送を想定している。
新事業では直接集荷・配送することで顧客とのタッチポイントを増やし、将来的に旅客として利用してもらうことも見込んでいるという。池田氏は「モノを動かすことで人を動かしたい。そうした繋がりを作っていけたら」と展望を語った。
▲「ソラシドマルシェ」が開かれる川崎キングスカイフロント東急REIホテルの1階ラウンジエリア