JAL、春秋航空日本を連結子会社化 グループ3社で「成田LCCハブ」形成へ

日本航空(JAL)は、格安航空会社(LCC)の春秋航空日本への出資比率を66.7%に引き上げ、連結子会社化を完了した。今後、ジェットスター・ジャパンとZIPAIR Tokyoを含めたLCC3社の強みを活かし、成田空港を拠点としたネットワーク拡大に乗り出す。

JALは、連結子会社化した春秋航空日本のほか、完全子会社のZIPAIR Tokyoと、50%出資するジェットスター・ジャパンのLCC2社を傘下に置いている。コロナ禍後はビジネス需要に比べて観光・訪問(VFR)需要の早期回復が見込まれることから、LCC3社による事業展開を拡大させることで収益回復を狙う。今後、成田空港をハブとするLCCネットワークの形成を目指し、春秋航空日本は中国特化型LCC、ジェットスター・ジャパンは首都圏を中心とした国内LCC、ZIPAIR Tokyoは中長距離LCCとしての役割を強化する。

具体的には、春秋航空日本は「中国特化型LCC」としての成長を見込んでおり、中国市場への強い販売力を持つ春秋グループとの共同経営を通じて、日本からの直行便ない都市(ホワイトスポット)を開拓する。JALの資料では主なホワイトスポットとして、鄭州、石家庄、長沙、合肥、南昌が挙げられている。

ジェットスター・ジャパンは当面の間、収益性の高い成田路線に重きを置いた事業運営を展開し、悪化した財務状況の回復を急ぐ。国際線は需要の回復状況を見極めた上で検討するとしている。

東京/成田とソウル/仁川・バンコク・ホノルルを結ぶ国際3路線を展開するZIPAIR Tokyoは、「LCC事業の収益拡大のドライバー」と位置付けた。2024年度までに10機体制とし、未開拓の中長距離路線を開拓する。また、機材稼働の最大化のため、短距離路線を組み合わせたネットワークも検討する。

▲JAL 豊島滝三取締役専務執行役員

成田空港で会見したJALの路線事業本部長を務める豊島滝三取締役専務執行役員は、「JALが従来ターゲットとしている高価格帯のマーケットに加え、価格試行の強いマーケットに事業領域を広げ、グループとしての収益最大化を目指す」と狙いを説明した。なお、JALからの路線移管については、「LCCとFSCはマーケットが全く違う」として否定した。