「まだまだ飛べるのに」　最後のトリトン737-700「JA06AN」、惜しまれながら日本に別れ

2021年7月6日

全日本空輸（ANA）が運航していたボーイング737-700型機の最後の1機で、6月27日に退役したJA06ANが7月6日、売却のため羽田空港からフェリーフライトでアメリカ・カリフォルニア州のヴィクターヴィルへ飛び立った。

JA06ANは2006年8月1日に大阪/関西〜名古屋/中部線で運航を開始。退役までの約15年間で、総サイクル数（飛行数）は22,084回、総飛行時間は33,097.20時間にのぼった。今年5月10日からは機首部分に退役記念のデカールを掲出し、6月27日の岡山発、東京/羽田行きのNH654便をもってANA機としての役目を終えた。

その後、羽田空港で退役整備が行われたJA06ANは、きょう7月6日午前10時15分、EH5672便として同空港第2ターミナル正面の82番スポットを出発した。

▲JA06ANに乗り込む米澤源機長（左）と矢澤大祐機長

同便に乗務した米澤源機長（PIC）と矢澤大祐機長は、ボーイング737-700型機の退役フェリーフライトを担当するのは今回で3回目だという。米澤機長は「この飛行機で初めて国際線を飛んだ乗員もたくさんいる。我々もこの飛行機に鍛えられ、育てられた」と思い入れを語り、「最後になるんだなと思うと寂しい。まだまだ飛べるのに、終わってしまうんだな。お疲れ様」と労った。

DHC-8-Q400型機から移行したという矢澤機長も、「ジェット機の楽しさと厳しさを勉強させてもらった飛行機。1・2回目のフェリーも最後の着陸はジーンと来るものがあった。今回はそれ以上に思いがこみ上げてくると思う」と退役を惜しんだ。

ANAウイングスの社員らが横断幕を掲げて見送る中、EH5672便は午前10時28分にC滑走路（R/W34R）を離陸。翼を左右に大きく振って羽田空港に別れを告げ、経由地のアンカレッジに向かった。これにより、ANAのトリトンブルーを纏ったボーイング737-700型機は日本の空から姿を消した。

ボーイング737-700型機は、ボーイング777型機の設計を採り入れるなど、従来の737シリーズから大幅な設計変更が加えられた機材で、737ネクストジェネレーション（NG）と呼ばれる。ANAでは2005年12月に運航を開始し、全18機を導入。初号機（機体記号：JA01AN）と2号機（JA02AN）には金色の塗装が施され、「ゴールドジェット」と呼ばれた。10号機（JA10AN）と13号機（JA13AN）は長距離型の737-700ERで、「ANA BusinessJet」としてビジネスクラスを中心としたシート配列になっていた。

▲羽田空港で退役整備が行われるJA06AN（2021年6月29日撮影）