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賞味期限1日“大阪の味”を東京へ 東海道新幹線でも始まる?貨客混載輸送
大阪で根強い人気を誇る、喜八洲総本舗のみたらし団子。円筒のような独特の形状が特徴で、たまり醤油と白双糖を使った昆布出汁の特製ダレが鼻腔をくすぐる。賞味期限は製造当日で、地方発送は不可という、現地でしか味わえないまさに大阪の味だ。コロナ禍で地方に出向いて名物を味わうことが難しくなっているなか、その“ご当地の味”が新幹線に乗って東京にやってきた。
JR東海グループで駅売店の運営を担う東海キヨスクは7月30日、東海道新幹線を利用した荷物輸送のニーズ調査の一環として、大阪で早朝に製造されたみたらし団子をその日のうちに東京駅へ運び、駅構内で販売する実証実験を行った。
東海道新幹線では過去に、伊勢名物の赤福餅を新幹線で運んだ実績はあったが、これはあくまで物産展への商品輸送という位置づけで、新幹線物流という意味合いは薄かったという。コロナ禍の今、鮮度や賞味期限の問題で通販では扱えない地方名物を求める声が高まっていることを受け、東海キヨスクが新幹線の速達性に目をつけた。
用意されたのは、大阪・十三の店舗で朝に焼かれたみたらし団子100箱(500本)。5つの容器に詰められた商品は、まずはトラックで新大阪駅に運ばれる。ここからは最高時速285キロを誇る東海道新幹線の出番だ。車内販売準備室のスペースを活用して東京駅に運ばれた商品は、そのまま駅構内の土産物店へ。店舗の前には正午の販売開始を待つ人が列をなし、商品を陳列する間もなく即完売した。圧倒的な人気だった。
新幹線を使った荷物輸送をめぐっては、JR北海道、JR東日本、JR西日本、JR九州の4社がすでに取り組みを本格化させている。コロナ禍による旅客需要の激減を契機に展開が加速し、一部では事業化が実現。例えば北海道・東北新幹線では、函館の朝どれ鮮魚を定期列車で首都圏に運び、飲食店に提供するというビジネスモデルもできている。速達性を活かして、水揚げ当日に新鮮なまま届くという付加価値がウリになる。
みたらし団子の輸送でも同様に、新幹線の速達性によって「大阪の味が東京で手に入る」という価値が生まれた。今回はあくまで需要調査が目的のトライアルという位置づけだったが、取り組みを担当した東海キヨスク営業本部企画部の河守優樹さんは「ニーズがあることは再認識した」と嬉しい悲鳴をあげる。現段階では事業化の計画などはないものの、「できれば今後も挑戦していきたい」と前向きな姿勢を見せた。取り組みが本格化すれば、将来的には地方の味がいつでもどこでも楽しめるようになるかもしれない。