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リアルな脱出訓練を目の当たりに 12月から始まる「ANA Blue Base」見学ツアー詳細レポート
全日本空輸(ANA)は、総合トレーニングセンター「ANA Blue Base(ABB)」の見学ツアーを12月10日から開始する。一般公開に先立って行われたメディア向けの内覧会で、このツアーを一足早く体験してきたので紹介したい。
ABBは2019年4月に運用を開始したANAグループの総合訓練施設。それまで羽田空港周辺にしていた訓練、教育、研修機能を集約し、30,000平米以上の敷地面積に最新鋭の訓練機器などが置かれている。今年7月から一般公開を始め、各職種の訓練を体験できる有料の「お仕事体験ツアー」を不定期で行っている。
一方、今般始まるツアーは定期開催で、施設の見学がメイン。現役客室乗務員がナビゲーターとなり、案内を聞きながらグランドスタッフ、客室乗務員、貨物スタッフ、グランドハンドリングスタッフ、整備士、運航乗務員の訓練設備をまわる。タイミングによっては、社員が実際に訓練している様子も見られるという。ちなみに、本来は2020年6月から実施する予定だったが、コロナ感染拡大の影響で延期していた。
いざ、ABB見学ツアーへ
アクセスは京急空港線の穴守稲荷駅から徒歩約7分。環状8号線を渡ってしばらく行くと右手に見える、大きな白い施設がABBだ。ちなみに天空橋駅からもアクセス可能で、羽田空港の900番台スポットに駐機されている飛行機を見ながら徒歩15分ほど。
メインエントランスのツアー用の入口から入り、まずは空港の出発ロビーをイメージした「エントランスエリア」のカウンターでチェックイン。名前が印字された“搭乗券”(入館カード)と、手荷物を預けるロッカーの鍵が渡される。
ツアー開始までは、ボーイング787型機のモデルプレーンがあるラウンジでウェイティング。
周囲に設置されているモニターでは、飛行機が出発するまでの流れを拡張現実(AR)動画で紹介している。
こちらはARフォトスポット。ツアーで見学できる各職種の制服をARで着用して撮影できるというものだ。
開始時刻になったら、チェックイン時に受け取った搭乗券で改札機を通過。エレベーターで3階の見学エリアに上がる。
まずはシアター風の「Tour Base」で、ABBの施設概要の説明やツアーの全体案内がある。
▲感染予防対策「ANA Care Promise」の紹介コーナーも
さて、いよいよ実際の訓練施設を見学できる「訓練エリア」へ――
その前に、訓練エリアは撮影禁止なのでスマートフォンやカメラを必ずロッカーに預ける。
見学エリアは訓練施設の上層にあり、ガラス越しに俯瞰する格好になる。最初にまわるのは、グランドスタッフの訓練施設「SPERCIA」。チェックインカウンターや自動チェックイン機、自動手荷物預け機「ANA BAGGAGE DROP」など、空港と同じ環境を再現し、搭乗手続き業務や案内業務の訓練などをしている。
▲近くには各職種の制服や道具を展示して仕事内容を紹介するブースがある
次に訪れる客室乗務員の訓練エリアにあるのは大きなプール。緊急着水訓練を行う場所だ。この日はちょうど、ボーイング777型機のエスケープスライド(脱出用シューター)を使った訓練が行われていた。
隣のエリアは、ボーイング787型機など4機のモーションモックアップが設置された訓練施設「Cabin Emergency Evacuation Trainer」。飛行機の揺れなどをリアルに再現できる設備で、緊急脱出などの保安訓練を行っている。
続いて、貨物スタッフとグランドハンドリングスタッフの訓練エリア。こちらは2022年4月以降に稼働予定で、さまざまな形状の貨物をコンテナやパレットに安全かつ効率的に積載するための訓練などを行うという。
こちらは整備士の訓練施設「Maintenance Training Mock-up」。実機のエンジンや翼、ランディングギアなどを使って整備作業の訓練をしている。
運航乗務員の訓練エリアでは、エアバスA320型機とボンバルディアDHC8-Q400型機のフルフライトシミュレーターが動いていた。ABBには運航中の全機種のフルフライトシミュレーター計22台があるという。
訓練を体験できるブースもある。悪天候時の羽田空港へのアプローチのシミュレーション映像、地上との無線のやりとりを聞きながら視聴できる。
訓練エリアはここまで。預けていたスマートフォンを引き取り、最後に訪れるのは記念撮影ができる「Experience ANA」だ。
訓練エリアで見学した各職種をテーマにした展示があり、自由に写真を撮れる。シートのモックアップなどもあり、自由に座ることもできる。
▲「ANA BUSINESS STAGGERED」のシートモックアップ。残念ながらリクライニングはできない
▲チェックインカウンターのモックアップ。各所の床にはフォトスポットの目印が
▲パッセンジャーボーディングブリッジの操作盤。ボタンは一部のみ反応した
存分に写真撮影ができたらエントランスエリアに戻り、90分の見学ツアーは終了だ。当面の間、ツアーの定員は10名までということなので、ナビゲーターの現役社員への質問も気軽にできそうだ。
▲ギフトショップはないが、ANAのECサイト「A-style」で扱っているグッズの一部が展示されていて、QRコードから購入できる。
この日は用意されていなかったが、一般公開時にはおみやげとしてツアー開始前にタッチペンがもらえるという。見学エリアにはタッチパネルの情報モニターがあるため、接触機会の軽減という配慮もあるようだ。
ANAによると、エアラインの主要職種の訓練施設や実際の訓練の様子を一度に見学できるツアーは日本初。「社員が訓練に真剣に取り組む姿を目の前で見てもらうことで、飛行機を利用する際の安心につなげたい」と狙いを話すのは、ツアーを立ち上げたANAホールディングス 広報・コーポレートブランド推進部の日高かおりさん。社員にとっても、訓練の様子を見られることで気が引き締まり、安全に対する意識がさらに高まるだろう。
見学ツアーの開催日は月・火・木・金曜(年末年始を除く)で、午前10時から、午後1時から、午後3時30分からの各3回設定。料金は大人1,000円、中高生800円、小学生500円。小学生未満は参加不可。12月実施分の申し込みは、専用サイトで11月17日午後3時から受け付けている。2022年1月分以降の申し込み受け付けは、開催月の前月1日午前10時からとなる(但し、2022年2月分は1月5日午前10時から)。なお、7月から行っている「お仕事体験ツアー」も不定期で継続開催していく方針だという。