「マイルを使い切るべき」とも不評も　JAL新・国内線特典航空券で異例のテコ入れ実施

日本航空（JAL）は、2023年4月12日搭乗分から導入する、国内線の新しい特典航空券「JAL国内線特典航空券PLUS」で、サービス開始前では異例の制度変更を実施した。

2023年4月12日搭乗分からの新しい特典航空券制度

JALグループは、2023年4月12日搭乗分以降、必要マイル数が変動制となる「JAL国内線特典航空券PLUS」を導入する。2018年12月に導入したサービス「JAL国際線特典航空券PLUS」を国内線にも拡大し、「JAL国内線特典航空券PLUS」として導入する。従来は空席がなく、キャンセル待ちとなっていた場合でも、マイルを追加することで座席の確保ができるようになる。追加マイル数は空席状況に応じて変動する。

必要マイル数は、従来A～Cの3つの区間で分かれていたが、新たにA～Gの7つのゾーンに変更する。最も短い距離ゾーンであるAゾーンは、札幌/丘珠〜函館線や沖縄/那覇〜久米島線、宮古〜石垣線などが含まれ、普通席の基本マイル数は4,000マイル、さらに空席状況に応じて15,500マイルまでの間で必要マイル数が増加する。

東京/羽田〜久米島・宮古・石垣線などが含まれる、最も長い距離ゾーンであるGゾーンは、普通席の基本マイル数が10,000マイル、空席状況に応じて43,000マイルまで変化する。他のゾーンでも、空席状況に応じて基本マイル数の約4倍まで必要マイル数が増加する。

この「JAL国内線特典航空券PLUS」は、利用する便によって必要マイル数が変動する。このため、予約変更はできず、当日の「前便変更」もできない。予約変更を行いたい場合、一旦予約をキャンセルする必要がある。

必要マイル数が増える可能性が高いにも関わらず、利便性が大幅に低下する今回の変更で、インターネット上では否定的な意見が相次いだ。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は、「マイルを使い切るべき」などと主張するなど、制度変更に対する反発も相次いだ。

取消手数料を変更

JALは、5月17日の新運賃販売開始に合わせ、この「JAL国内線特典航空券PLUS」の取消手数料をひっそりと引き下げた。サービス発表当時は取消手数料を、1名・1特典あたり3,100円としていたが、同じく1,000円に引き下げた。制度変更を実施することは極めて異例で、利用者からの不満・不評を受けたテコ入れとみられる。

TRAICYでも「取消手数料は1名・1特典につき3,100円で、「JAL国際線特典航空券PLUS」と同額であることから、国内線では割高感が否めない」とまとめるなど、問題点を指摘してきたところで、今回のテコ入れは一定の評価ができるといえる。

JALは、「刷新後は特典航空券の予約変更ができなくなりますが、その分ご予定変更などの際にもお客さまのご負担がなるべく少なくなるよう、取消手数料を変更いたしました」と変更理由を説明。「新しいJAL国内線特典航空券は、特典航空券PLUSによってマイルでご予約いただける機会が格段に広がるとともに、乗り継ぎの場合もおトクなマイル数でご利用いただけるようになっております。今後も、JALマイレージバンクがお客さまにとってより使いやすいサービスとなるよう、取り組んでまいります」とコメントしている。