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あなたはANA派・JAL派どっち? アフターコロナで見えてきた意外な違いとは【コラム】
あなたは「ANA派」「JAL派」どちらだろうか?どちらが優れていて、どちらが劣っているというものでもないが、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の間にははっきりとした違いがあり、アフターコロナの中で浮き彫りになってきたものもあるのでみてみよう。
国内線でゆとりある機内はどっち?
飛行機にのるとき、やはり気になるのは隣の席に客が来るかである。もちろん航空会社としては搭乗率が高い方が採算が良く好まれる状況であるが、利用者としては、隣の席が空席のほうが、おおむね快適だ。
実際に、東京/羽田発鹿児島行き、月曜朝の比較的ビジネス需要が旺盛な時間帯の便(午前9時頃)の普通席の座席指定状況を、1日前に無料で座席表を見ることができる「Seat Alerts」で同時に見る。青色の座席が指定済み、白色の座席が空席、四角に×の座席は航空会社がブロックしている座席(空席)だ。
JAL643便(午前9時発)は比較的空席が多いが、同じ時間帯のANA621便(午前9時5分発)は後方座席には空席があるものの、前方座席はほぼ満席だ。
同じ時間帯の運航だが、JALは乗客定員252人のボーイング767-300ER型機を使用する予定であるのに対し、ANAは乗客定員194人のエアバスA321neo/A321ceo型機をアサインしていて、定員数に応じて混雑率が変わっているという印象だ。
ANAは前方座席は上級会員が指定できる席としていることが多く、この区画の座席指定が集中しほぼ満席となっている一方、JALは満遍なく座席指定がされている印象だ。隣席に人が来ない可能性も十分ある。
この2便を比べると、どちらが快適かという視点でANAよりJALに軍配があがるといえる。
筆者は日本各地の航空便をJALとANA両方で搭乗してきて、JALの方が搭乗回数が多い。JALでももちろん混雑したフライトもあるが、比較的人気が低い後方座席を選択すると、隣の席があいていることが多かった。ANAに乗ると搭乗率がよいと思わせるフライトが多い印象で、隣の席は埋まっていた経験が多い。
航空会社の経営状況としては搭乗率が高い方が良いのは重々承知しているが、利用者目線で、もし同じ料金を払って、ANAとJALのどちらか1便を選んで搭乗するならば、筆者は過去の隣の席が空席だった経験が多いことも踏まえてJALを選びたい。
アライアンスでみる日本から海外へのアクセス
先ほどの章では、筆者がJALを持ち上げた形になったが、JAL派がすべて良いわけではない。日本から海外へのアクセスをみると、力関係が大きく変わると感じている。
日本から海外への直行便は、新型コロナウイルスの影響による減便から復便傾向にある。東京/成田・東京/羽田からアメリカやカナダ、ヨーロッパ、アジアへの直行便は、ほとんどの就航地の便が運航している。渡航を制限される中国や台湾などへのアクセスはまだ難しい状況であるが、そのほかの直行便の運航状況は、ANA・JALともに大差がなく、目的地やタイムスケジュールによってどちらが好ましいか判断しよう。
問題は、航空連合(アライアンス)を活用し、経由便を活用する場合だ。JALの属するワンワールドは、ANAの属するスターアライアンスに比べて、加盟航空会社が少ない。
JAL派の人ならピンと来るかもしれないが、JALで上級会員ステータスを獲得すると、香港乗継でおなじワンワールドのキャセイパシフィック航空を使って、アジア圏やヨーロッパ圏などに乗り継ぐと、香港でラウンジを利用でき、かつ直行便よりも渡航費用を抑えられるというワザが知られていた。そんなキャセイパシフィック航空も、現在は大幅に運航便数を減らしており、また、感染状況によってポリシーを変更する香港当局の姿勢や、大規模デモ後の体制変化などが懸念点になってしまい敬遠される傾向になっている。
キャセイパシフィック航空を除くと、日本から乗継でフル活用できるのはカタール航空、次にマレーシア航空といったところだろうか。数が少ないワンワールドでは、選択肢の減少が利便性の低下に直結してしまう。一時的なものだと思いたいが、しばらくは利便性の低下を感じずにはいられない。
加盟航空会社が多いスターアライアンスでも、中国国際航空のように、新型コロナウイルスによる運航本数を減らしている航空会社があるものの、最近では、比較的自由に渡航できるハブ空港を持つシンガポール航空やタイ国際航空や、旺盛な需要をもとにいち早く運航を再開している欧州の航空会社を多く持つスターアライアンスに軍配があがるので、JAL派よりANA派といったところではないだろうか。
アフターコロナで見えてきた違いを総括すると、国内線を中心に、フィジカルディスタンスをとりたいご時世ではJALが有利、再建される航空ネットワークでは、多くの航空会社・路線をもつスターアライアンスに属するANAが有利という面が見えてきた。激変する航空業界、しばらく目が離せなさそうだ。