大井町「大変貌」への布石 京浜東北線を止めた線路切替工事
東京から3時間、意外に近い岡山を探索してきた ボンネットバスが走るレトロな街並みも
JR旅客6社と沿線自治体などが連携して開催する「デスティネーションキャンペーン(DC)」。7月から9月までは岡山県が舞台となり、県内各地で地域の自然や施設を活かしたさまざまな観光コンテンツが展開されている。
JR西日本ではこの岡山DCに合わせて、キハ40系を改造した観光列車「SAKU美SAKU楽」を津山線にデビューさせた。今回はこの列車に乗って、津山エリアや岡山市エリアを中心とした観光スポットを巡ってきたので紹介したい。なお、乗車レポートは別稿にまとめているので、別途ご覧いただければ幸いである。
まず訪れたのは、岡山駅から吉備線で4駅の吉備津駅近くにある吉備津神社。桃太郎伝説のルーツとも言われる鬼退治神話が伝わる神社だが、いつ、誰によって創建されたのかは実はわかっていないという。ただ、現在の本殿と拝殿は1425年に完成したという記録が残っており、現在までの約600年間、解体修理を一度もすることなく現存している。
この神社には、願いが叶うかどうかを釜の鳴る音で占う「鳴釜神事(なるかましんじ)」という特別な神事がある。阿曽女(あぞめ)と呼ばれる巫女が湯を沸かした釜に置いた蒸籠の中で玄米を振り、釜から出る音の大小や長短で吉凶禍福を判断するもの。鳴釜神事の祈祷は随時受け付けているが、デスティネーションキャンペーンでは、普段は入れない本殿での正式参拝と鳴釜神事が同時に体験できる。今後の開催日は9月5日・18日となっている。
さて、岡山を訪れたら食べておきたいのが名物「ばらずし」。岡山市内の割烹「喜怒哀楽」を訪れて食べてきた。岡山の海の幸と野菜がたっぷり詰め込まれたこの店のばらずしは、持ち帰りや全国配送にも対応しているが、せっかくなら現地を訪ねて味わってほしい。
ところで、岡山市では2009年に「フルーツパフェの街」プロジェクトが立ち上がり、市内のカフェなどが岡山特産のフルーツを使ったパフェを提供している。そんな新・岡山名物を求め、岡山駅直結のホテルグランヴィア岡山へ。このホテルのロビーラウンジ「ルミエール」で8月31日までの期間限定で食べられるのが、“岡山といえば!”の白桃を贅沢に使ったパフェ。桃が丸ごと1つ乗ったその見た目に圧倒されるが、ココナッツライムのアイスやアセロラのジュレが味のアクセントとなり、食後のデザートとしてもぺろりと食べられる。ちなみに9月からはこの白桃パフェにかわり、県産ブドウをふんだんに使ったパフェが登場するとのことだ。
続いて、津山エリアに移動して津山市の隣町・奈義町を訪れた。同町のシンボルともなっているのが、最近SNSでじわじわと話題になっているという奈義町現代美術館だ。
「太陽」、「月」、「大地」の3つの展示室があり、外からもわかるような特徴的な設計になっている。9月24日には光と音と映像で美術館全体を演出するナイトミュージアムイベントが開催される。
「SAKU美SAKU楽」の運行ルートからは外れるが、県中西部の高梁市にある備中吹屋地区は、2020年6月に文化庁が認定する日本遺産に登録された。この場所の見どころはベンガラ色で統一された家々が連なる「吹屋ふるさと村」並み。吹屋地区はかつてベンガラの生産で繁栄した鉱山町で、富を成した商人たちがベンガラ色で家々を飾ったのだという。
岡山DCでは9月30日までの日曜日、この街並みの中をレトロで懐かしいボンネットバスが走る。午後0時30分から午後3時まで30分間隔で運行し、予約不要で乗車体験もできるのでこの機会にぜひ訪れてみてほしい。
吹屋ふるさと村から数分歩くと、朝ドラで見るような立派な木造建築が忽然と現れた。これは明治期に建てられた小学校の校舎で、2012年まで高梁市立吹屋小学校として現役だったもの。実際に2013年の朝ドラ「ごちそうさん」のロケ地にもなったそうだ。
今年4月に保存修理工事を終え、現在は「旧吹屋小学校校舎」として観光スポットという新たな役割を担っている。岡山DC期間中は、金・土曜を中心に夜間のライトアップも行われる。
9月には特産のピオーネが旬を迎え、「果物王国」としての側面も満喫できる岡山県。DC終了後は10月から年末まで「おかやま秋旅キャンペーン」として、DCで好評となったイベントの期間延長も計画されているという。新幹線で東京から約3時間、意外に近い岡山をこの秋の旅先に選んでみるのはいかがだろう。ちなみに、筆者のおすすめは寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」での往復だ。下りは午後9時50分東京発、翌午前6時27分岡山着、上りは午後10時34分岡山発、翌午前7時8分東京着で、滞在時間を最大化できる。