東海道新幹線N700Sの新仕様 西九州新幹線「かもめ」の車内を探索【フォトレポート】

佐賀県の武雄温泉駅と長崎駅を結ぶ西九州新幹線が、いよいよ9月23日に開業する。

博多駅と長崎駅を結ぶ143kmの整備新幹線計画計画のうち、長崎〜武雄温泉駅間の約66キロがフル規格新幹線として先行整備されるもの。武雄温泉〜博多間は在来線特急で運行され、武雄温泉駅では同じホームで対面乗り換えをするリレー方式となる。途中、嬉野温泉駅と新大村駅の新設2駅と、諫早駅の計3駅が設置される。最高時速260キロで走行し、長崎〜武雄温泉駅間を最短23分で結ぶ。これにより、博多〜長崎駅間の所要時間は現行の特急で約2時間のところ、最短1時間20分に短縮される。

列車名は全便が「かもめ」で、車両は6両編成のN700Sを使用する。2020年にデビューした東海道・山陽新幹線向けN700Sの新仕様となるもので、N700S8000番台として扱われる。Y1〜Y4の全4編成が新製されており、通常は3編成で運用し、1編成は予備となる。車体は白をベースにJR九州のコーポレートカラーの赤を配色し、先端部など各所にシンボルマークが配されているなど、東海道・山陽新幹線向け車両とは印象が大きく異なる。

N700S▲(参考)東海道・山陽新幹線向けN700S

▲各車両のドア横には、同社の青柳俊彦会長が揮毫した「かもめ」の文字をロゴとしてあしらった

車内は1〜3号車が指定席で2-2配列、4〜6号車が自由席で3-2席配列。グリーン車はない。定員は1号車から40名、76名、47名、86名、86名、61名で計396名となっている。自由席は東海道・山陽新幹線向け車両の普通車と同様の設計だが、シートモケットや床のデザインが異なる。指定席は800系のシートをベースに、コンセントを設置するなど改良を加えた。車両によってシートモケットの柄が異なり、1号車は菊大柄、2号車は獅子柄、3号車は唐草のデザインとなっている。

東海道・山陽新幹線向け車両はデッキに特大荷物置き場が設置されているが、西九州新幹線向け車両では当該スペースが沿線ゆかりの品などを展示するギャラリーになった。展示品は編成ごとに異なるという。

西九州で長年親しまれた特急「かもめ」の名を譲り受けるN700S。デビューの日が待ち遠しい。

▲1号車指定席。シートモケットのデザインは菊大柄

▲2号車指定席。シートモケットのデザインは獅子柄

▲3号車指定席。シートモケットのデザインは唐草柄

▲1〜3号車指定席には座席の背面テーブルがなく、インアームテーブルが備えられている

▲4〜6号車自由席

N700S▲(参考)東海道・山陽新幹線向けN700Sの普通車

▲4〜6号車自由席

▲指定席、自由席とも全席の肘掛け部に電源用コンセントを備えている

▲3号車に設けられた車椅子スペース

▲3号車デッキ。バリアフリー対応トイレを設置

▲多目的室のシートデザインは客室に合わせた唐草柄

▲1号車客室内に設けられた特大荷物置き場

▲デッキの特大荷物置き場のスペースを活用したギャラリーコーナー