「全国旅行支援で便乗値上げ」と騒ぐ人は、3つの真実を知らない【コラム】

海外と比較してみると?

いままでは、日本国内の状況をまとめてきたが、海外にも目を向けてみよう。世界は広いので、日本よりはるかに宿泊費が安い国も多々存在する。ただ、経済力がある程度ある先進国の中では、日本の宿泊にかかる費用は恐ろしく安い。

筆者はわけあって、9月にニューヨークやロンドンなどに足を運んだが、いずれも、1部屋あたりの宿泊費は平均で2~3万円程度で、欧米諸国では、日本と同じコストパフォーマンスで宿泊施設に泊まれる国を探すのは極めて困難だ。もし、日本円に換算して数千円で泊まれる宿泊施設があっても、ホステルや、すごく小さな部屋に寝返りをうったらすぐに落ちてしまうような狭いベッドであることがほとんどだ。

どこかの携帯電話会社のCMで聞いたフレーズに似ているけれども、「日本のホテルは安すぎる」のが、海外を回ってきた人間としての感想だ。

「全国旅行支援で便乗値上げ」なんて言っている人に、アメリカやヨーロッパの相場を見せたら、気を失ってしまうに違いないので、見せないようにするか、このTRAICYの記事を一言一句読んでもらって、大きく深呼吸してもらってから、しっかり心の準備をすることをお勧めしたい。

「全国旅行支援で便乗値上げ」とは騒がないほうがいい

中部国際空港 NGO JTA ジンベエジェット

別に宿泊施設側に立つつもりはないことをあらかじめ断っておくが、いままで述べてきた3つの理由で、「全国旅行支援で便乗値上げ」と騒ぐことをお勧めしない。日本国内の、ごくごく最近の動きだけしか見れていないことが露呈してしまうからだ。

別に海外と比較したり、2020年からのコロナと宿泊施設の関係を研究する必要こそないが、きわめて自然な経済の動きに対して、自分がどのような対応をすべきか、自分の頭で考えて方針を立てるくらいはしても損はないのではないだろうか。

今後、国際線の便数が増えるにつれて、訪日外国人が戻ってくるだろう。思い出してほしい、インバウンド全盛期、あの有名社長のホテルが1泊4万円と騒がれたことを。物価高やインフレ、人材不足、加えてコロナ禍で負った多大な損失を考えると、もしかしたら「便乗値上げ」と言われている今も、後から振り返ってみれば割安だったと言われる日が来るかもしれない。

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