JR東海・新横浜駅に「パタパタ表示機」復活? 案内するのは時刻ではなく“順位”

かつて全国の駅や空港で目にした、細長いパネルがパタパタと回転して出発時刻や行き先を表示する「パタパタ表示機」。今や函館空港や近畿日本鉄道の一部の駅などでしか見られないレア物となってしまったが、そのパタパタ表示機“らしき”装置が東海道新幹線の駅に突如出現し、話題になっている。

現場は新横浜駅の新幹線西口改札外付近。9月28日までJR東海ツアーズ新横浜支店が営業していた場所だ。縦2メートル、横5メートルはあろうかという大きな黒い表示版が鎮座している。横には路線図のようなものが描かれ、遠くから見れば懐かしのパタパタ表示機のよう。しかし、近づいてよく見てみると、パタパタ部分には列車名や時刻ではなく、サッカーJ1のクラブチーム名や勝ち点、得失点差が表示されている。

実はこれ、地元・横浜を本拠地とする「横浜F・マリノス」の終盤戦を盛り上げるために設置されたもので、正式名称は「反転フラップ式J1順位案内表示装置」だという。JR東海は4月から、東海道新幹線「のぞみ」と同クラブが同時に30周年を迎えることをきっかけに、コラボキャンペーンをスタート。オリジナルグッズを制作したり、新横浜駅にクラブの紹介コーナーを展開したりしていた。パタパタ表示機の設置もその一環で、3年ぶりのリーグ優勝に向けた10月のホーム3連戦を前にした10月6日に設置した。

装置の制作には、本物のパタパタ表示機を今も保守点検している星光が協力。過去に本物の装置に使われていたパーツを再活用し、クラブチーム名などを印刷した。手動ではあるが、“パタパタ”と音を立てながら動かすことができるそうだ。横浜F・マリノスによると、今年は横浜を走る京急線からパタパタ表示機が完全引退したこともあり、サポーターに少し懐かしい気持ちで楽しみながら応援してほしいと企画。トップテンを表示したかったが、現存するフラップ装置の数量限界で5位までの表示になったという。設置期間は11月上旬までを予定している。

優勝がかかる10月29日のホーム最終戦を2日後に控えた27日には、同クラブのフォワード・宮市亮選手が新横浜駅を訪れ、パタパタ表示機の前でJR東海の酒井英樹・新横浜駅長に“共闘”を呼びかけた。酒井駅長は「マリノスと私たちがしっかりとタッグを組んで街を盛り上げたい」と応じ、「29日は大きな一戦。多くのサポーターが駅を訪れる。しっかりと迎えてともに喜びたい」と力を込めた。

なお、JR東海によると、パタパタ表示機はかつて新横浜駅の東海道新幹線ホームにも設置されていたが、2003年から徐々にLED式の発車標に置き換えられて引退。同新幹線で最後まで残っていた三河安城駅の装置も2013年1月に姿を消した。

▲新横浜駅の新幹線西口改札外付近に設置されたパタパタ表示機

▲路線図のように表現された横浜F・マリノスの勝敗表

▲パタパタ表示機の前で“共闘”を誓う横浜F・マリノスの宮市亮選手(左)とJR東海の酒井英樹・新横浜駅長

▲コラボグッズを扱う「グランドキヨスク新横浜」でも“共闘”を呼びかける宮市選手