JAL、日本初のCO2排出実質ゼロフライト サステナブル社会実現へ理解促進

日本航空(JAL)は11月18日、日本初の二酸化炭素(CO2)排出量実質ゼロのフライト「サステナブルチャーターフライト」を東京/羽田〜沖縄/那覇間で運航した。航空業界における「サステナビリティ」について理解を深めるきっかけにしてもらおうと、機内では環境負荷に配慮した食材を使った食事を提供したほか、同乗した環境学の専門家らによるトークショー、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の観点からアクセシビリティに関する社内資格を持ったスタッフがサービスを行うといった取り組みを行った。

チャーターフライトには、機材は従来機と比べてCO2排出量を15〜25%程度削減できるというエアバスA350-900型機(機体記号:JA03XJ)を使用し、羽田から那覇までのフライトで使用する燃料全体の約38%に相当する持続可能な航空燃料(SAF)を搭載した。空港での地上走行時に片方のエンジンを停止するなど、運航面でもCO2排出量を削減する工夫を取り入れたほか、カーボンオフセットを活用してCO2排出量実質ゼロを実現した。

▲ファーストクラスで提供された「豆腐ヌードルと舞茸とえのきの温製ミモザサラダ スモークサーモン」と、廃棄野菜を活用した「凸凹野菜スープ」

機内で提供された食事は、JAL国際線のファーストクラス・ビジネスクラス機内食も担当する食プロデューサーの狐野扶実子氏が監修した。ファーストクラスでは、世界自然保護基金(WWF)英国支部らが「持続可能な未来を支える50の食材」として提唱する豆腐やエノキダケなどを使ったメニューを提供。クラスJと普通席では、環境負荷が低い食材とされる大豆ミートを使ったハンバーガーを、紙袋の軽量化包装で用意した。

ドリンクも、傷や形の関係で生食用として出荷できないリンゴを使ったジュースや、100%リサイクルペットボトルを使ったミネラルウォーターなどを用意。さらに、使用後の紙コップは機内で回収し、リサイクルする取り組みを行った。

▲トークショーの手話通訳をするJALサンライトの小菅海弥さん(右)

機内では、環境学を専門とする慶應義塾大学の蟹江憲史教授らが「空の旅から始まるサステナブルな未来」をテーマにトークショーを開いた。D&Iの取り組みとして、手話ができるJALサンライトの小菅海弥さんと田川舞衣さんが客室サービスのサポートスタッフとして同乗し、トークショーの手話通訳を行ったりした。小菅さんと田川さんは普段、社員証の発行・管理や旅客収入管理業務をそれぞれ担当しており、同乗にあたって客室サービスに関する教育を受けたという。客室乗務員は13名のうち5名が男性だった。

JALでサステナビリティ推進委員長を務める青木紀将常務は、「ヨーロッパでは“飛び恥”という言葉が生まれているが、我々は地球環境や社会に対して胸を張れる、誇らしい空の旅を作り上げなければならない」として、2050年カーボンニュートラル実現に向けて取り組みを加速させる意向を示し、「今回のチャーターフライトはそのためのきっかけにしたい」と話した。

▲機内でトークショーを行う慶應義塾大学の蟹江憲史教授

▲トークショーの手話通訳をするJALサンライトの田川舞衣さん

▲クラスJと普通席で提供された大豆ミートのハンバーガー

▲使用後の紙コップをリサイクルのため回収する客室乗務員

▲チャーターフライトの乗客に配られた記念品