30年前ならこれがビジネス? エミレーツのプレミアムエコノミーがスゴイ【さかいもとみの旅力養成講座】

食事もビジネス並みのレベルに?

エアバスA380型機に56席を設けた座席は、エコノミークラスの「3-4-3」の座席配列に対し、「2-4-2」配列と広さは圧倒的。シートピッチも40インチあり、前列との距離が気になりません。

気になる食事ですが、航空会社によっては「プレエコに座っても食事のレベルがエコノミーとあまり変わらない」という苦情があるなか、エミレーツのプレエコは短距離線のビジネス並みか、むしろそれ以上かと思わせる充実度を誇っています。わざわざイギリス製高級磁器であるロイヤルドルトンを用いた食事サービスをみると「イギリス人の誇りをあえてくすぐる」感じもして、ちょっとやり過ぎかなあと思うほどです。

ただ、出発前にラウンジが使えない、自慢の機内バーに立ち寄れない、といった欠点はあるものの、「利用客からは、天井の低いエアバスA380型機の2階より、広々としたエコノミークラスの方が乗り心地が良い、との声もある(ロンドン線の客室乗務員)」とのコメントもあるそうです。

日本から新機軸のプレエコに乗るには?

エミレーツ航空のプレエコは、現在のところエアバスA380型機の16機にのみに装備しています。これまでにすでにロンドン・ヒースローをはじめ、シドニー、オークランド、クライストチャーチ、メルボルンへのフライトに導入しており、いわば「イギリス人旅客の需要が高いところ」に集中して投入されるに過ぎません。

したがって、日本からエミレーツ航空を使って欧州へ行こうとしても、全区間をプレエコで、というわけにはいかないのがちょっと残念です。とはいえ、ロンドン線には飛んでいるわけですから、ぜひ何かの機会に選択してみると新たな体験ができるかもしれません。筆者のおすすめは昼行便での利用ですが、ドバイに早朝に着く日本線からの乗り継ぎならちょうど時間的にも良さそうです。

欧州線が遠回りの今がチャンス?

目下、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、日本〜欧州間の直行便は大回り飛行を強いられています。かねて中東経由は、「遠回りだから嫌」という人も多かったわけですが、目下の状況ではむしろ、中東の寄港地で一旦降りて、手足を伸ばしてリフレッシュしてから再出発、というプランも悪くありません。

エミレーツ航空が新しいプレエコで話題を集める中、お隣、アブダビのエティハド航空は、ロンドン行きにエアバスA380型機の再就航を決めました。運賃が高止まりする中、あえてプレエコ利用でちょっと贅沢というプランも悪くないのでは、と筆者は考えます。

海外旅行の本格復活まであとわずか。コロナ禍で停滞していた航空市場に吹き込まれるこうした「新しい風」を積極的に体験してみてはどうでしょうか。

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