東横イン、東横INN津田沼駅北口を閉店
全国旅行支援で実質1泊400円「ホテル太洋」【はんつ遠藤の大阪・西成C級ホテル探検(15)】
案外と、それはすぐに判明した。掃除だ。掃除が行き届いていない。
確かに床やベッド周りは清潔感があるものの、コンセントの壁付近なども汚れている。下段にテレビと冷蔵庫がある、もともと押し入れだったであろう場所は、上段が埃だらけで、ずっと掃除すらしていないのが一目瞭然だった。
あとは、枕が妙に小さい。ほぼ正方形で、いちおうは機能するものの、できればよくあるタイプの長方形スタイルが欲しいところだ。
僕は常備スリッパを使用せずに、靴のまま館内探検へと向かった。
廊下に出た瞬間に、飲みかけのペットボトルやティッシュなどが置かれているのを目の当たりにした。まるで学生寮のよう、というか、昭和の長屋というか。
各階には洗面台&ウォシュレット付きのトイレがあった。1階にはコモンルームや共用キッチン、電子レンジなども設置されているのは便利。
外に出ればすぐにコンビニ(ファミリーマート)があるものの、ソフトドリンク&アルコールの自動販売機もあり、気軽に購入できる利点も。洗濯機&乾燥機もあり、長期滞在でも支障は無さそうだ。
確かに廊下やロビーなど、通常に目につく範囲では大した問題は無い。だが、ふと思い立ち、今度はエレベーターではなく、5階まで階段で上がってみた。
案の定、ところどころ壊れているのみならず掃除の跡も伺えない。再度5階まで上がってトイレをきちんと眺めれば、これまたゴミだらけ。そんなホテル内を、インバウンド需要が回復したのだろう、アジア系はもとより欧米系と思われる数名の旅行者に遭遇する。彼らは、この日本のホテルに泊まり、何を思うだろうか。
さらに僕は、ふと思い立ち、部屋に戻ってノートパソコンを広げてホテルのウェブサイトを検索してみた。
公式Facebook、そして連動していると思われる公式Instagramには、やる気に溢れた楽しそうな雰囲気がアップされていたが、なぜか更新が1年以上前にストップしている。
一体、この1年に何があったのだろう。残念というよりも、ちょっと悲しくなった。
大浴場は男女時間入れ替え制だ。男性は18時〜20時50分、女性は21〜23時。19時すぎだったので大浴場に入ることができる時刻だが、館内の汚さから推測するに怖くなり、とても湯船を利用する気分になれず、僕はシャワールームへと向かった。
1階~3階にあるようで、3階を利用。そこは想像よりも綺麗で、正直なところ、ほっとした。ドライヤーは1階にしか無いようだが、フロントで貸してくれたので助かった。
その後、僕は夜の街へと繰り出すことにした。掃除の行き届かなさに、ちょっと気分が滅入っていたのもある。いつもならば「551蓬莱」などのお土産品で使用していた全国旅行支援の2,000円分のクーポン券が、大通り向かいの居酒屋「味の関所 大よし」で使用できることに気づいたのもある。
ここは、11時~23時まで基本的に無休という使い勝手の良い店舗で、ランチは特に定食も評判。平日の20時すぎに入店したら、ラッキーなことにすんなりとテーブル席に案内していただけた。
そして生ビールで喉を潤し、大阪ならではの串カツ(紅生姜&串カツ)をいただけば、みるみるうちに晴れやかな気分になるという、なんともお気楽な性格の自分に笑った。ソースはコロナ禍で漬けるタイプではなく、かけるタイプが増えた。
酎ハイ冷凍レモンやハイボール、ねぎま&もものやきとりで1,780円。
ホテルを出てから戻るまで1時間ちょっと。21時を回っていたので、大浴場は女性専用へと変わっていた。
翌日は12時までいられるレイトチェックアウトだったが、10時前には早々にホテルを出た。フロントは昨晩と別の方に変わっていたが、お二方ともアットホームな雰囲気だった。
大阪メトロ御堂筋線動物園前駅のホームは、まだ改装工事の途中だ。
あと数か月もすれば、見違えるほど綺麗になるのだろう。
■プロフィール
はんつ遠藤
1966年東京生まれ。早稲田大学卒。不動産会社勤務を退職後、海外旅行雑誌のライターを経て、フードジャーナリスト&C級ホテル評論家に。飲食店取材軒数は1万軒を超える。主な連載は「週刊大衆」「東洋経済オンライン」など。著書は「取材拒否の激うまラーメン店」(廣済堂出版)など27冊