ANA、受託手荷物の適用ルールを変更 日本発エコノミー「Light」運賃では1個に
ANAの767、最大出力でドッカン上がり パイロットが“マニアック実況”した特別便の全貌
全日本空輸(ANA)は6月24日、ボーイング767型機の就航40周年を記念した成田空港発着の遊覧チャーター便を運航した。
通常の旅客便では体験する機会が少ないというボーイング767-300ER型機の“フルパワー”を楽しんでもらおうと、整備センターの社員が中心となって企画したイベントで、航空ファンら151名が参加。機材はイベント当日の日付に合わせて「JA624A」がアサインされた。
JA624Aはウイングレット付きの国際線用機材で、ビジネスクラス35席、エコノミークラス167席の202席仕様。普段は主に成田空港発着の近距離国際線で使用されているが、6月中旬に入ってからは羽田空港発着の国内線に投入されていた。イベントに向けて約1週間前に機体洗浄が行われ、20日に成田空港にフェリーフライトされた。
チャーターフライトのNH2023便には、角田武和機長、荻原章浩機長と客室乗務員6名に加え、機内でのイベント対応などにあたるパイロット5名と客室乗務員2名が同乗した。機内には就航40周年を祝う装飾が施され、記念撮影用のグッズも用意された。これらはチャーター便を担当する客室乗務員がこの日のために手作りしたものだという。
チャーター便は午後0時8分に55番スポットを出発。機内では、アナウンス担当としてコックピットに同乗した本村諭史副操縦士が、運航中のコックピットの動きや、管制とのやりとりを専門用語を使って実況解説した。
ANAの767-300ERの魅力といえば、ゼネラル・エレクトリック製CF6-80C2エンジンのパワフルな性能を挙げる人も多い。チャーター便ではこのエンジンのポテンシャルを存分に体感してもらおうと、離陸推力は最大の「TO」に設定された。このスラストは重量のある貨物便で使われることがほとんど。重量が軽い通常の国内線は最大出力の約80%の「TO2」に設定されることが多く、TOを体感できる機会は滅多にない。
さらに離陸時は、滑走路上で静止したままエンジンの出力を上げ、ブレーキを離して一気に加速するスタティックテイクオフで滑走を開始。機首上げ角度23度という、いわゆる“ドッカン上がり”で飛び立った。本村副操縦士によると、通常の国内線の機首上げ角度は18度前後だが、フルパワーの767では、20度以上に引き起こさないとスピードが出すぎてしまうのだという。
午後0時26分にA滑走路(RWY16R)を離陸したチャーター便は、まずは北西方向に向かった。長野市付近で針路を北東方向に取り、新潟市を経由して日本海沿いを北上した。秋田県の県北地域まで飛行すると、180度旋回して往路と同じ経路を戻り、新潟市で南東方向に針路を変えて福島県を横断。いわき市付近からは太平洋沿いに飛行し、午後2時21分に成田空港に着陸、同31分に421番スポットに到着した。この飛行経路は、767にちなんで「6」の字を描くように設定されたという。
参加者には飛行経路図やフライトプランが盛り込まれたパイロットお手製のしおりが配られ、客室に同乗したパイロットがこの日のフライトについて解説したり、767のエピソードを語ったりした。
アナウンス解説を担当した本村副操縦士は、「767に乗りたくてANAに入社した」と公言するほどの大の767ファン。参加者から767の好きなところを問われると、「何と言っても形。特にコックピット周辺の、飛行機らしいデザインがかっこいい。そしてエンジン音も大好き。スタート時も着陸時のリバース音も最高」と“767愛”を熱く語った。
イベントを終えて本村副操縦士は、「丁寧な解説も挟もうと思ったが、時間的に余裕がなかった。わかりづらかったかもしれないが、専門的なところも楽しんでいただけたのではないか」と振り返った。
ANAのボーイング767型機は、1983年4月に初号機の-200(機体記号:JA8479)がデリバリーされ、同年6月21日に東京/羽田・大阪/伊丹〜松山線の2路線でデビュー。今年で就航40周年を迎えた。現在は長胴・航続距離延長型の-300ER15機と、貨物機の-300F4機、-300BCF5機の計24機が運航されている。
ANAはボーイング767型機の就航40周年を記念したプロジェクトを展開中で、7月1日・2日には成田空港の格納庫での機体撮影ツアーが予定されている。(以下、写真23枚)