「JGC修行」事実上の”終了” JALグローバルクラブ刷新で見えてきた真の狙いとは【コラム】

日本航空 JAL JL 787-8 JA823J

日本航空(JAL)は、JALマイレージバンクの上級会員組織である「JALグローバルクラブ(JGC)」を刷新し、上級会員の囲い込み戦略を大きく転換する。

筆者は昨年12月に刷新がアナウンスされた際に分析したが、概ね予想通りの結果になったと言えるだろう。

今回の記事ではこの新プログラムとJALグローバルクラブ刷新の真の狙いを探っていく。

新プログラム「JAL Life Status プログラム」とは?

2024年1月から新たな生涯実績プログラム「JAL Life Status プログラム」を開始する。このプログラムはJALの搭乗実績や、JALカード、JAL Mallなどの利用実績を生涯にわたり「Life Status ポイント」として蓄積する。そしてそのポイントをもとに、JALや提携社がさまざまな特典を提供する。

JGC JALグローバルクラブ

入会すると、搭乗時のラウンジ利用や手荷物の優先返却、マイルボーナスなどの上級会員としての特典がうけられる会員組織「JALグローバルクラブ」の制度は、この「JAL Life Status プログラム」に取り込まれる形になる。

「JAL Life Status プログラム」が開始しても、JALグローバルクラブの既存会員の資格や、ラウンジアクセスなど航空機搭乗時の特典は原則維持される。一方、大きく変わるのが、JALグローバルクラブの入会基準だ。今までは1年間の実績をもとに、JALグローバルクラブの入会基準が判定されていた。JALグローバルクラブの入会基準が、生涯にわたるポイントの蓄積で判定されることになる。

「JGC修行」が事実上”終了”

JAL(ボーイング737-800型機)

JALグローバルクラブの入会基準の判定期間が1年間から生涯に変わることにより、この入会基準を満たすために航空機に搭乗するという、いわゆる「JGC修行」も大きく変わる。

「JGC修行」とは、JALグローバルクラブの入会基準を満たすために、集中的に航空機に搭乗することを指す。日本地区のJALマイレージバンク会員で、必要なクレジットカードをもっている場合、ざっくりいえば、50回搭乗するか50,000 FLY ON ポイント(FOP)の獲得が必要だ。この入会基準をみたすために「回数修行」または「FOP修行」を行うというのが「JGC修行」であった。

従来できた「JGC修行」は、1年間(1月から12月)の搭乗実績でJALグローバルクラブの入会基準が判定されるので、それを満たすように飛行機に乗れば、仮にそれまでJALに乗ったことがなかったとしても、今まではJALグローバルクラブに入会できたというわけだ。

だが、2024年からは先述の通りJALグローバルクラブへの入会基準が変わる。JALグローバルクラブに入会するには、生涯に渡って貯まる「Life Status ポイント」を1,500ポイント獲得する必要がある。

現在公表されているサービスごとの獲得ポイント数は、JAL国内線1搭乗で5ポイント、JAL国際線1,000区間マイル(搭乗)で5ポイント、JALカード2,000マイル獲得で5ポイントなどとなっている。

新しいJALグローバルクラブの入会基準であるに1,500ポイントを獲得するには、仮に国内線だけを利用するなら300回、国際線では合計30万マイルを搭乗する必要がある。東京〜ニューヨークが約6,000マイルだから、国内線、国際線ともに今までの50回搭乗または50,000 FLY ON ポイントの「JGC修行」よりはるかに難易度が高いことがわかる。

つまり、JALグローバルクラブに入会するための、飛行機に短期間で集中的に乗る「JGC修行」は終わったと言っても過言ではない。

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