ANA、11月21日〜27日搭乗分「トクたびマイル」設定 東京/羽田〜石垣・宮古線が7,500マイルなど
「JGC修行」事実上の”終了” JALグローバルクラブ刷新で見えてきた真の狙いとは【コラム】
「修行しなくても上級会員になれる」ミドル層取り込み
ここからはJALがこの変更を通してどのようなことを狙ったのか、探っていきたい。
入会基準が「Life Status ポイント」に変更になり、2023年までの搭乗実績がJAL国内線1搭乗で5ポイント、JAL国際線1,000区間マイル(搭乗)で5ポイントで算入される。これにより、今までJALグローバルクラブに入会できなかった人も、搭乗実績によりJALグローバルクラブに入会できるチャンスが発生する。例えば、25年間毎月1回(国内線1往復)のみJALに乗っていたいわゆる「出張族」の人の場合、今まではJALグローバルクラブの入会基準を満たせなかったが、国内線の搭乗実績により、JALグローバルクラブの入会基準を満たす。
上記はあくまで一例だが、国内線・国際線ともに利用してきたが、毎年JALグローバルクラブに入会できるほどではなかったという「ミドル層」のJALグローバルクラブへの入会チャンスがぐっと近づく。
JALグローバルクラブは、所定のカード年会費が必要になるが、ラウンジや手荷物の優先返却、マイルボーナスなどのベネフィットがあるから、JALにある程度乗ってきたユーザーには年会費の元を取れるほどのベネフィットがあるだろう。
JALグローバルクラブへの入会は、JALにとってもメリットだ。JALを選んで乗っていた利用者との接点が増加し、さらにJALに乗ってもらうことが容易になる。競合他社と同じ条件の場合、JALを選んでもらえる確率がぐっと上がる。
「ミドル層」の取り込みにおいて、今回の「JAL Life Status プログラム」は大きな役割を果たすだろう。
「FLY ON ポイント」のキャンペーンが増え、「ダイヤモンド」会員になりやすくなる?
今回の刷新で、筆者が注目しているのは「FLY ON ポイント」についてだ。「FLY ON ポイント」は上記の通り、JALグローバルクラブの入会基準として使用されているほか、JALグループ便・ワンワールド アライアンス加盟航空会社便の搭乗が多いJALマイレージバンク会員向けのサービスステイタス(ラウンジ、手荷物優先返却、マイルボーナスなど)提供のための、1年単位の判定基準としても利用されている。
今回の刷新で、「FLY ON ポイント」はJALグローバルクラブの入会基準としては使用されなくなる一方、今まで通り、サービスステイタスの基準としては継続使用される。
筆者は、「FLY ON ポイント」がJALグローバルクラブの入会基準から切り離されることで、JALグローバルクラブの会員数の増加など累年的な影響を考慮する必要がなくなり、柔軟に倍付けなどのキャンペーンを行うことができるのではないかと考えている。
JALグローバルクラブの入会基準を切り離したことにより、「利用低調な特定の路線に搭乗すると、FOPが5倍もらえる」、「10回搭乗すると10,000ボーナスポイント付与」などキャンペーンができれば、利用者は「JMBダイヤモンド」「JGCプレミア」を目指しやすくなり、利用者も最上級ラウンジ(JALファーストクラスラウンジ、ダイヤモンド・プレミア ラウンジ)へのチャンスが広がる。JALとしても利用促進につなげることができ、Win-Winだ。
ワンワールドは他の航空連合(ANAが加盟するスターアライアンスやスカイチーム)と異なり、加盟航空会社の上級会員用ラウンジが利用できる「サファイア」の上に、最上級会員用ラウンジが利用できる「エメラルド」ステイタスがあり、ロンドンやニューヨークなど主要都市では、利用できるラウンジが各ステイタスで異なっている(別にファーストクラス利用者向けなどのラウンジが設定されている場合もある)。
このため、JALグローバルクラブを取得して半永久的に上級ラウンジが利用できるようになったとしても、最上級の「エメラルド」ステイタスを取得すれば、さらに上のランクのラウンジが利用できるなどのベネフィットが受けられる、他航空連合と差別化できる大きなメリットが存在する。
筆者はここに注目し、なるべくJALやワンワールド加盟航空会社を利用するようにしている。いわゆる修行をせずに上級会員(現在JMBダイヤモンド)になってしまっているが、それでも今後も最上級ラウンジが使えるようにできたらよいと考えており、そのためにフライトでどのくらい「FLY ON ポイント」が貯まるかを気にしている。
「FLY ON ポイント」の柔軟なキャンペーンで、筆者のような利用者層を含めさまざまな利用者を取り込めるようになるのではと期待している。
「修行」“終了”でJALグローバルクラブの入会基準が健全化 今後の戦略に期待
いままでは、JALに1回も乗ったことがない人でも、比較的短い期間で「修行」すれば入会基準を達成でき、「上級会員」として優遇されるというちぐはぐな状況であった。これが今回のプログラム刷新で、半永久的な会員組織であるJALグローバルクラブの入会基準が、生涯にわたるJALグループのの利用実績により判定されるという極めて理想的な状況になった。
生涯の利用実績によって「上級会員」として優遇されるようになったこの刷新は、真の「お得意様」を優遇するための重要な転換だろう。JALは「お得意様」にとって魅力的な航空会社としてあり続けられるのだろうか。今後の戦略から目が離せなさそうだ。