ヴァリエホテル広島、11月25日閉館
大阪西成ホテルの最高峰 「HOTEL PIVOT」 【はんつ遠藤の大阪・西成C級ホテル探検(19)】
ここまでしっかりしていると、もはや問題点を探るというよりも、逆にワクワク気分の館内探検である。時々、表側が綺麗でも階段は汚いというホテルがあるが、内階段という事もあり、階段自体も清潔だった。
1階のフロント向かいなどには広めのロビーがあり、ソーシャルディスタンスを考慮した配置で、2人用のテーブル&チェアが整然と並んでいた。
他にも奥にはソファー、テレビなどもあり、くつろげる雰囲気である。
トイレ、ソフトドリンクの自動販売機、なぜかパープルのライトを施された洗濯機&乾燥機ルーム。
ちょっとしたIT対応のキッチンもあり、電子レンジや電気ポットも。まさに自炊可能な“暮らせるホテル”だ。
さらに1階の裏側へと回れば本が置いてあったりして、そしてリノベーション前の大浴場の浴槽がオブジェ化して登場した。そういえば十年程前に、僕はここに泊った事があった。それを、いきなり思い出した。
HOTEL PIVOTでは着物のレンタルもしているようだ。京都などでは着物姿の観光客をよく見かけるが、西成もそうなるのかもしれない。この先、西成も凄い変貌があるかもしれない。ちょっとまだ自分の頭が付いていけて無いが(汗)
その後、僕は用事があって隣駅である天王寺へ行き、早々に用事を済ませると、ホテルのあまりの居心地の良さに吸い寄せられるように、近鉄百貨店の食品コーナーで弁当を購入してそそくさと戻り、夜は部屋飲みとなった。
翌朝も天気が良かった。朝5時~11時まで1階でコーヒー無料サービスも提供(セルフサービス)しているので部屋に持ち帰り、テレビを観ながら10時のチェックアウトまでゆったりとした時を過ごした。
1泊素泊まり5,000円ならば大阪の他地域のホテルでも泊まれるという意見もあるだろう。しかし清潔感や利便性を考えたら、HOTEL PIVOTは、かなりの高ポイントだ。西成だからこそ、この価格で最上級を堪能できてしまう。日ごろ三畳一間に宿泊している身としては複雑な思いもあるが、これも西成という地の利点なのかもしれない。
■プロフィール
はんつ遠藤
1966年東京生まれ。早稲田大学卒。不動産会社勤務を退職後、海外旅行雑誌のライターを経て、フードジャーナリスト&C級ホテル評論家に。飲食店取材軒数は1万軒を超える。主な連載は「週刊大衆」「東洋経済オンライン」など。著書は「取材拒否の激うまラーメン店」(廣済堂出版)など27冊