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JALニューヨーク線・最新ファーストクラス 飛行機であることを忘れさせる空間とは?【搭乗レポート(前編)】
空の上であう日本らしさ 完成された食事を通して気付いたこと
JALのファーストクラスの食事は、世界的にも高い評価を獲得し続けている。今回は和食を選んだが、その評価を裏付けする非常に完成度の高いものであった。
今回選んだ座席では、2つの窓から外を眺めることができた。窓からの景色が期待できない状況でも、大画面のディスプレイで機外カメラやフライトマップを眺めてよいかもしれない。
ちなみに、筆者は窓からの景色も、ディスプレイでのコンテンツも楽しんだが、ある程度楽しんだところで、気づいたことがある。
それはこの、「全く飛行機にいると思わせない空間」で、「飛行機にのり、空を飛んでいる」ことを実感することが食事のスパイスであり、おそらくこの状況のなかで最も料理を引き立てる物質の一つである、ということである。
にわかに信じられないことかもしれないが、他の人の存在を感じさせない空間で、大きなディスプレイを消すか、変化のない機外カメラの映像を眺めつつ、静かなエンジンに耳を澄ませながら、上空での喫食のために味付けされた食事を楽しむこと、それ自体が最大の贅沢であると感じた。
エコノミークラスからファーストクラスまで、さまざまな飛行機の客席に座ってきたが、そんな感情になることを想像したことすらなかった。飛行機の空間なんて、ぶっきらぼうでいろいろな物音がして落ち着くとは程遠い環境だと思っていたが、その既成概念を覆される空間が、ファーストクラスにはあった。
多彩なアラカルトとドリンクメニューで楽しむ贅沢な時間
JALの長距離国際線の場合、ビジネスクラス以上ではアラカルトメニューを楽しむことができる。それぞれのメニューがどれも手が込んでおり、メインメニューとしても遜色ないような多彩なメニューを楽しむことができる。
ニューヨーク発の場合、期間限定で「宮崎キャビア1983プレミアム」を楽しむことができる。キャビアは質の悪いものであると、臭みを感じ、独特な風味と相まって、おいしく味わうことができないこともあるが、今回のキャビアはそんな記憶を覆す、味わい深いものであった。キャビアの小さい粒から想像できないほどの熟成された旨味があふれ出てくる。本当に魚卵なのかと疑いたくなるようなクリーミーさも特徴だ。是非一度は味わいたい逸品であることは間違いない。
また、お酒を含む多彩なドリンクを嗜むこともできる。
シャンパーニュや日本酒も楽しんだが、筆者が個人的に今回のファーストクラスで楽しんだのは、ROYAL BLUETEAの「Queen of Blue Deluxe」だ。最高級青茶の「東方美人」を贅沢に使用したお茶として知られ、JALのファーストクラスで提供されるこだわりの逸品の一つ。機内では気圧の関係で味覚などが衰えると言われるが、その独特な、とはいえ飲みやすい甘みを交えた風味や、高貴な香りに思わず呑み込まれる。
このQueen of Blue Deluxeを筆者が気に入った理由としては、他の飲み物と比べ、料理を選ぶことなく、ほとんどの料理にあうという事実だ。和食にも洋食にも、前菜にも甘味にも合う料理を邪魔しない存在でありながら、それ自体の魅力も充分に味わえる、主役にも脇役にもなる存在であることに惹かれたのである。
JALの最長路線だから味わえる、ファーストクラスの”真髄”とは?
いままで綴ってきた体験は、JALの最長路線、ニューヨーク線のファーストクラスのほんの一部だ。JALが19年ぶりに刷新した新旗艦機・A350-1000型機の、最上級クラスを語るには、まだ触れていない重要な点がある。後編では、余すことなくその”真髄”を触れていくことにしよう。(後編に続く)