FDA初の退役機、グリーンの「JA04FJ」ラストフライト【搭乗レポート】

フジドリームエアラインズ(FDA)が保有するグリーンの4号機(エンブラエル170型機、機体記号:JA04FJ)が3月9日、最終運航を迎えた。2010年10月に導入され、約13年半にわたって全国各地を飛び回った機体で、2009年7月に運航を開始したFDAとして初の退役機となった。

▲出雲空港でラストフライトの出発に備える4号機

ラストフライトは午後6時45分出雲発、午後7時40分名古屋/小牧着のFDA418便。最終日は同便の前に、福岡発松本行きのFDA200便、松本発神戸行きのFDA233便、神戸発青森行きのFDA833便、青森発名古屋/小牧行きのFDA364便、名古屋/小牧発出雲行きのFDA417便に投入され、この日6本目のフライトとなった。

▲ラストフライトを担当した(左から)平山威信機長、客室乗務員の荒川まり恵さんと安江絵美さん、江畑豊副操縦士

担当クルーは、パイロットは平山威信機長と江畑豊副操縦士の2名、客室乗務員は安江絵美さん、荒川まり恵さんの2名の計4名。客室は76席に対し、乗客77名(うち幼児1名)と満席だった。旅行客や家族連れのほか、前便の名古屋/小牧発出雲行きのFDA417便から続けて搭乗する航空ファンも少なくなく、全身をグリーンカラーでコーディネートした熱心な人の姿もあった。

FDA418便は、緑色のペンライトとお手製の横断幕を手にしたスタッフに見送られ、出雲空港を午後6時44分に出発。滑走路(R/W25)から西向きに離陸すると、大きく旋回して東に針路をとり、宍道湖、鳥取県三朝町、兵庫県養父市などの上空を経由しながら飛行した。機内では客室乗務員が飲み物と茶菓子に加え、4号機の機体が描かれた記念のポストカードを乗客に配った。

▲機内で配られた退役記念のポストカード

平山機長は機内アナウンスで、唯一の中古機である4号機には、他の機材と仕様が異なる部分があることを紹介。「わかりやすいところで言うと、化粧室の床が木目調になっている。また、パイロットはタブレットでマニュアル類を閲覧するが、操縦席に充電口がなく少々パイロット泣かせなところもあった」と話し、「そのような機体だったが、FDAの翼を14年弱支えてくれた。この飛行機をご愛顧いただきありがとうございました」とあいさつした。

このほか、客室乗務員によると、新造機のギャレーには前方・後方に湯沸かし器とコーヒーメーカーが1台ずつ備えられているが、4号機は湯沸かし器がなく、コーヒーメーカーが2台ずつあるのが特徴。客室乗務員が使用するジャンプシートの色も他機と異なるという。

▲名古屋市街を左に見ながら小牧空港にアプローチするFDA418便

京都府福知山市上空付近を通過したFDA418便は、午後7時15分頃に降下を開始。琵琶湖、三重県桑名市などの上空を通り、名古屋市街を左手に見ながら小牧空港の滑走路(R/W34)に着陸。地上でFDAの楠瀬俊一社長や社員らが出迎える中、午後7時41分に到着した。小牧空港の展望デッキの開放時間は通常、午後6時45分までだが、この日は4号機のラストフライトに合わせて午後8時まで延長。大勢の航空ファンが集まった。

▲機体に書き込んだメッセージと記念写真に納まる客室乗務員の荒川まり恵さん

乗客を見送った乗務員らは、機体に「お疲れさま」などとメッセージを書き込み、13年半にわたる活躍をねぎらった。最終便でL2を担当した荒川さんは、「中古機ということで、導入当時はくたびれた部分もあったが、整備さんがとてもきれいにしてくれた。思い入れのある機体。退役してしまうのは寂しい」と別れを惜しんだ。

FDAによると、 4号機の同社での総サイクルは27,557サイクル、総飛行時間は30,848時間で、それ以前の航空会社での実績も含めると、34,498サイクル、42,086時間だった。4号機の退役により、FDAが運航する機材は76席仕様のエンブラエル170型機が2機、84席仕様のエンブラエル175型機が13機の計15機体制となる。4号機は今後、小牧空港に残り、部品取り用として活用される予定だという。

▲出雲空港の搭乗ゲート前に置かれた記念装飾

▲機内でポストカードを配る荒川さん

▲巻末に4号機を含めた全16機の機材一覧が載る機内誌

▲木目調の床が独特な4号機の化粧室(後方)

▲新造機と色が異なる4号機のジャンプシート

▲小牧空港に向けて旋回中のFDA418便

▲ラストフライトを終え小牧空港に到着した4号機

▲小牧空港の展望デッキに集まったファンに手を振る荒川さんと安江さん

▲小牧空港の展望デッキに集まったファンに手を振るFDA社員