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JAL・A350-1000型機 誰も教えてくれない最新ファーストクラスの”過ごし方”【搭乗レポート(後編)】
日本航空(JAL)が満を持して導入したエアバスA350-1000型機。最上級クラスであるファーストクラスでは、どんなサービスを受けられるのだろうか。
今回の記事では、前編では、ファーストインプレッションを中心にお届けしたが、後編では、JAL最長路線のニューヨーク線だからできる”過ごし方”を中心にお届けする。
半日を超える長距離路線だから、ファーストクラスを堪能できる
ニューヨーク線は、JALの最も飛行距離の長い路線だ。ニューヨーク行・ニューヨーク発ともに所要時間は12時間を超える。
半日超を機内で過ごすからこそ、その機内の過ごし方によって、フライトの印象が大きく変わる。ファーストクラスやビジネスクラスといった上級クラスの場合なおさらだ。
ファーストクラスの場合、他の座席クラスと異なり、離陸後のシートベルトサイン消灯後から、着陸前のシートベルトサイン点灯までの間、乗客の希望通り時間を使うことができる。客室乗務員のサービスは、乗客の希望にあわせてうけられる。
筆者は、離陸後最初に食事からスタートしたが、客室乗務員がきめ細かく食事のタイミングを調整してくれ、スムーズに食事を楽しむことができた。飛行機でよくある「次の料理や飲み物がこないまま退屈している」「食べ終わった食事を下げてくれず身動きができない」といった悩みとは無縁だ。
上質な食事を終えたところで、離陸後1時間半ほど経過していた。のんびりとドリンクを楽しみながら、機窓や大画面の映画を楽しむ。途中でオーガニックコットンのパジャマに着替え、座席を45度ほどに倒すと、自宅のソファのような、快適でリラックスできる環境が出来上がる。
離陸後4時間ほどたったころにベッドをセッティングしてもらい、3時間ほど目を閉じる。睡眠に関しては、ファーストクラスの広々としたシートピッチが魅力的だ。このシートでは隠れた機能として、ダブルベッド用のシートベルトが存在し、安全性を担保しながら、寝返りをうてる広々とした空間にて睡眠をとることができる。寝返りを打てるほどの広さは、ボーイング777-300ER型機の、従来のファーストクラスになかった特徴だ。
ただ、あまりにも長く睡眠をとると、時差ボケになってしまうので、4時間程度の仮眠にとどめたのだが、それでも睡眠の質は今まで体験したことがないくらい上質であったと感じる。
好きな料理を好きなだけ、好きな飲み物を好きなだけ
仮眠から目を覚ましたあとは、アラカルトと飲み物を楽しみながら、映画や、機窓を楽しむことにする。様々なメニューをお願いしたのだが、デザートとしてフルーツプレートをお願いした際には、チョコレートデコレーションを作成していただくというサプライズも。こういったきめ細かいおもてなしが嬉しい。
ボーイング777-300ER型機のファーストクラスでも、同様のサービスを受けられたが、A350-1000型機のファーストクラスでは、同様のサービスを、個室型の客席で、大画面ディスプレイなど最新のギミックとともに楽しむことができるようになった。いままでも充分良質なサービスであったのが、最新のハードウェアの後押しにより、「最強」になったと言っても過言ではないだろう。
少しだけ隙がみえるものの、ホスピタリティでカバー
ここまで、ファーストクラスの肯定的な意見を述べてきたが、中立的な意見も述べておこう。
今回のA350-1000型機の様々な設備は、他のJAL機のものとは大きく異なる。機内エンターテインメントの操作などは大幅に異なるため、慣れるまでには少々時間が必要だった。機内エンターテインメントの使い方については、簡単にレクチャーしてくれるようなガイドがあったほうがよいのではと思った。
今回のフライトでは、フライトマップを見ることが多かったが、飛行中、ある段階でデータが更新されなくなった。全席で同じ状況となったらしく、フライトマップが使えない旨アナウンスがあった。同様の不具合が他の便でもあったと聞いており、時が経つにつれ安定稼働となることを期待したい。
客室乗務員とコミュニケーションをさせてもらったが、客室乗務員は乗務する路線が限定されていないため、今回の乗務が初めてのA350-1000型機の乗務であるという(厳密には、東京→ニューヨークでA350-1000型機にて初めて乗務したのち、折り返しのニューヨーク→東京でもA350-1000型機に乗務している)。基本的なサービスは、A350-1000型機が初めてという印象を全く抱かせなかったが、先ほどのフライトマップが使えないといったイレギュラーが生じたときの対応は難しかったかもしれないと感じた。
新しい機材は、どうしても少々粗削りなところがあるかもしれない。ここでは述べないもののほかにもいくつか気づいたところがあった。ただ、いずれも全体のフライトにたいしては極めて軽微なものである。そして、ファーストクラスの場合、もとからあるきわめて上質なサービスが、もし粗削りなサービスがあっても充分にカバーしてくれ、満足いくサービスを受けることができる。筆者も、気づいた点はあったものの、それによって大きく満足感が損なわれることはなかった。
JALのホスピタリティ溢れるサービスが、ファーストクラスの強力なバックボーンであると、改めて実感させられた、A350-1000型機のファーストクラスの旅だった。また機会があればファーストクラスに搭乗したい。(ビジネスクラス・プレミアムエコノミークラス編に続く)