目が覚めるとそこは南国―― ユナイテッド航空・東京/羽田〜グアム線UA848便【搭乗レポート】

ユナイテッド航空は5月1日、東京/羽田〜グアム線を開設した。これまで他社を含めて同路線を運航していたキャリアはなく、完全な新規就航路線だ。日本とグアムを結ぶ同社の路線としては5路線目。他に東京/成田・大阪/関西・名古屋/中部・福岡発着便が運航されている。

ユナイテッド航空は当初、羽田空港の国際線拡大に合わせて2019年2月に同路線の開設を申請していたが認められず、2023年9月には未使用状態だったハワイアン航空の発着枠を再配分するよう米国運輸省(DOT)に要求。同社の反発もあり一度は却下されたものの、最終的に1日1往復の発着枠が返上され、東京/羽田〜グアム線への配分が決まった。ユナイテッド航空にとっては、“5年越しの悲願”が叶った格好だ。

機材はビジネスクラス16席、エコノミークラス150席の2クラス計166席仕様のボーイング737-800型機で、1日1往復運航。スケジュールは、グアム行きのUA848便が東京/羽田を午後11時55分に出発し、翌午前4時45分に到着。東京/羽田行きのUA849便はグアムを午後7時に出発し、同10時に到着する。

ユナイテッド航空の桐山謙一・日本・ミクロネシア地区営業担当支社長は、東京/成田線と組み合わせることで柔軟な旅程が組めることが強みだと紹介し、「例えば週末だけでもリゾートに行きたいという場合、(金曜日に)仕事が終わったあと羽田から出発し、日曜日の夜に帰ってくるということも十分できる」と例を挙げている。

そこで本稿では、深夜便となる東京/羽田発グアム行きUA848便の使い勝手に着目して搭乗レポートをお届けする。機内設備などについては東京/成田〜グアム線の過去のレポートを参照してほしい。

改めてスケジュールを紹介しておこう。UA848便は東京/羽田を午後11時55分に出発し、グアムには翌午前4時45分に到着する。グアムの時間は日本より1時間進んでいるため、所要時間は3時間50分だ。グアムは日本から近いことが大きなウリだが、深夜便ではこの所要時間の短さがかえって仇になるとも言える。機内でいかに効率的に睡眠をとれるかがこの便を“攻略”するポイントである。

最初にネガティブな点に触れてしまったが、もちろん利点も多い。このスケジュールであれば、羽田には午後10時30分頃に到着していれば十分間に合う。退勤後に一度帰宅し、シャワーを浴びたり着替えたりしてから空港に向かっても余裕がある。各地から国内線を乗り継いで利用する場合でも都合がいい。

筆者が利用したのは5月1日の初便。出発ゲートは149番だった。日によって異なるが、概ね140番台を使っているようだ。ゴールデンウィークの中日ということもあり、利用客は日本人が多い印象で、家族連れも目立つ。ユナイテッド航空は搭乗者実数を公表していないものの、この日は「満席」とのこと。実際にほとんどの席が埋まっていたが、運良く筆者の隣の席は空いており、思わずほくそ笑んだ。

UA848便は午後11時46分に出発。伊豆諸島の西側に沿うように南下し、約1時間40分後にベルトサインが消灯した。

深夜帯のフライトだが、この便では機内食がしっかり提供される。筆者のもとにチキンの機内食が届いたのは、ベルトサイン消灯から約1時間後。グアム現地時間では午前3時30分頃だ。

機内食の提供時は客室照明が点灯し、機内がにわかに賑やかになる。仮に食事をパスしても眠り続けるのは難しいかもしれない。この点についてはユナイテッド航空でも俎上に載せているようで、桐山支社長によれば、スナックボックスなどの軽食に切り替えることも検討しているという。

トレーの回収が終わると再び消灯されるが、グアムはもう目前。ここから睡眠時間を稼げたとしても30分程度だろう。グアムには午前4時35分に到着。あっという間に常夏のアメリカンリゾートに入国だ。

▲初便ということで、グアム到着時は歓迎のウォーター・サルートがあった

筆者はレポートのためにほとんど起きていたが、この便を利用する場合は、機内に乗り込んで席に着いたらとにかく「寝る」ことをおすすめする。最初に述べたように、この便では効率的に睡眠時間を確保することが重要だからである。必要に応じてアイマスクを持参しよう。

さて、スムーズにいけば午前5時頃には空港の外に出られるが、こんな早朝に放り出されても……という人もいるだろう。そこで、星野リゾート リゾナーレグアムやグアムリーフホテルなど一部の宿泊施設では、この便の就航に合わせて午前6時から客室を利用できるアーリーチェックインプランを設定している(ちなみに、早朝は空港からホテルまでの送迎が基本的にないようなので、タクシーやレンタカーを予約しておくとよい)。部屋に荷物を置いて少し休憩して、朝食をとってから遊びに出かけると体力的にも無理がないのではないだろうか。(搭乗日:2024年5月1日、取材協力:ユナイテッド航空・グアム政府観光局)

▲東京/羽田〜グアム線に合わせてアーリーチェックインプランを設定している星野リゾート リゾナーレグアム