乱気流遭遇のシンガポール航空機、当局が予備的な調査結果を公表

シンガポール航空

シンガポール運輸安全調査局(TSIB)は、乱気流に巻き込まれた、5月20日のロンドン/ヒースロー発シンガポール行きのシンガポール航空SQ321便(ボーイング777-300ER型機、機体記号:9V-SWM)に関する、予備的な調査結果を公表した。

フライトデータレコーダー(FDA)とコックピット・ボイス・レコーダー(CVR)に保存されているデータを抽出し、予備的な分析に基づいて時系列を作成した。

発表によると、同便は正常に飛行していたものの、5月21日午前7時49分21秒(世界標準時)、ミャンマーの南を高度37,000フィートで通過中に、対流活動が発達しているエリアの上空を飛行した可能性が高いとした。約19秒間で+0.44Gと+1.57Gの間の微振動が発生し、高度37,362フィートにまで上昇した。同49分32秒にシートベルト着用サインを点灯させた。自動操縦は作動していた。

同49分40秒から0.6秒間で+1.35Gから-1.5G、同41秒から4秒間で-1.5Gから+1.5Gに急激に変化した。これにより、シートベルトを締めていなかった客室乗務員が宙に浮き、落下したものとみられている。これにより、高度が178フィート低下した。この間に、パイロットは機体を安定させるため、自動操縦を解除した上で21秒間手動制御した後、同50分5秒に自動操縦に戻した。同23秒には37,000フィートに戻った。

客室乗務員から機内に負傷者が発生しているとの連絡を受け、パイロットはバンコク・スワンナプーム国際空港への目的地の変更を決定し、到着時に医療サービスを要請した。乱気流の発生から約17分後の同8時6分51秒に降下を開始し、同45分12秒に着陸した。

調査はTSIBのほか、アメリカ運輸安全委員会(NTSB)、アメリカ連邦航空局(FAA)、ボーイングによって構成されている。調査は継続している。

シンガポール航空によると、同便には乗客211名と乗員18名の計229名が搭乗していた。このうち1名が心臓発作で死亡した。現地時間5月29日現在、乗客42名がバンコクにとどまり、このうち26名が病院で治療を受けているとしている。要請に応じて、家族などの渡航を支援している。