JAL、“やさしい未来の旅”考える小学生向けワークショップ パイロット訓練生が企画

日本航空(JAL)は7月23日、サステナブルな未来の旅について考える小学生向けのワークショップを羽田空港の見学施設「JAL SKY MUSEUM」で開催した。

「JALこども未来開発本部」と題して開かれたワークショップでは、参加した小学3年生から6年生までの児童19名を同本部の“こども社員”に任命。児童たちは手書きの名刺でそれぞれ自己紹介したあと、“おとな社員”役を務めたパイロットの岡田哲也さんから、サステナビリティに関するレクチャーを受けた。

岡田さんは、機内から撮影したアラスカの地表の写真を見せながら、地球温暖化が世界的に進んでいる現状を説明。運航時のサステナブルな取り組みとして、地上走行時は片側のエンジンのみを使うことで二酸化炭素(CO2)排出を削減していることなどを紹介した。また、乗客にもできる身近な取り組みの例として、飛行機の降機時に窓のシェードを下ろすことで機内の冷房効率が上がり、環境負荷を抑制できることなどを挙げた。

児童たちはレクチャーの内容をもとに、自分たちにもできる「みんなにやさしい未来の旅」について意見交換。「機内や空港」と「日々の暮らしや旅先」の2つのシーンでできるサステナブルなアイデアを出し合い、JAL社員に向けて発表した。各グループからは、「機内食に不揃い野菜を使う」「旅行先でなるべくゴミを出さない」といった環境に関することから、「身体が不自由な人やお年寄りを優先する」という他者への配慮に関するアクションまで、様々な意見が出された。

発表を聞いたJALカスタマー・エクスペリエンス本部の崎原淳子副本部長は、「さまざまなヒントをいただいた。実現できそうなアイデアはJALのサービスに取り入れたい」と講評。岡田さんも「アップサイクルやリサイクル、ゴミの分別のアイデアもあった。レクチャーしたことをすぐに取り入れているのがすごい」と驚いていた。

その後は格納庫に移動し、機体を間近で見学。燃費性能の高いエアバスA350-900型機の導入が進められていること、ウイングレットには燃費効率を上げる役割があることなどをスタッフが説明すると、児童たちは興味深そうに話を聞いていた。

▲ワークショップを企画したJALカスタマー・エクスペリエンス本部の内田彪さん

ワークショップを企画したのは、JAL入社2年目でパイロット訓練生の内田彪さん。カスタマー・エクスペリエンス本部でサステナビリティに関する取り組みを担当し、“隠れたサステナブルな行動”を「かくれナビリティ」として発信する取り組みを行っている。

「未来を担うのは子どもたちであるにもかかわらず、なかなかサステナビリティというテーマで子どもたちと対話する機会がなかった」と話す内田さん。夏休みの開催に向けて、4月中旬頃から準備を進めてきたという。大人にとっても理解が難しいサステナビリティを噛み砕き、やさしい言葉で伝えることに苦心した。

ワークショップを終え、「まさに『かくれナビリティ』を見つけてくれた。サステナビリティを理解したうえでのアウトプットが出てきた」と手応えを感じた様子で、「ちょっとした行動で社会が変わっていく。ワークショップの内容を家族や友だちにも共有してほしい」と話した。今回のワークショップの様子は9月以降、機内モニターや機内誌で紹介する予定だという。