長崎のANA子会社、社員に通勤用EV貸与 マイカー維持費用軽減

ANAグループで航空機装備品の整備を行うANAコンポーネントテクニクス(CTC)長崎事業所は、社員に通勤用の電気自動車(EV)を貸与する新たな福利厚生制度を7月24日から導入した。マイカーの購入や維持にかかる社員の費用負担を軽減し、二酸化炭素(CO2)排出削減にもつなげる。

制度では、住友商事グループのHakobuneが提供する法人向けのEVサブスクサービスを利用し、リース料金はCTCと社員で分割負担する。EVは通勤時だけでなくプライベートでも利用可能。車種は約20種類から社員が好きなものを選ぶことができる。

長崎事業所の敷地内には充電ポートが10基設置され、出勤時に充電が可能。費用はCTCが負担する。Hakobuneによると、軽自動車タイプの場合、1回の充電で150キロ程度走行できるため、日常的な利用であれば自宅や道中では充電の必要がないという。

長崎県諫早市西部の工業団地に位置する長崎事業所の周辺には、鉄道や路線バスが通っていないため、社員のほぼ全員が通勤時に自家用車を利用しており、社員の経済的負担を軽減することが課題となっていた。制度の導入についてCTCの吉本健一社長は、「社員にとっては費用負担が軽くなる一方、企業にとっては福利厚生の充実により職場環境が向上するとともに、採用競争力も向上する」とメリットを説明。さらに、社員が通勤で利用するガソリンエンジンの軽自動車20台をEVに切り替えた場合、年間のCO2排出量を約7トン削減できると見込んでおり、ESG経営の推進にも寄与するという。

制度開始時点では社員3名が利用を希望。今後、自家用車を買い替えるタイミングで制度を利用する社員が増加すると見込み、将来的には社員の約半分にあたる40台程度の導入を目指す。

長崎事業所では24日、EVの納車式が開かれ、Hakobuneの高橋雅典社員からCTCの吉本社長に鍵が手渡された。制度を利用した長崎事業所の森上拓さんは、「制度の導入はうれしい。車検や保険料、事故発生時の費用も含めた定額料金になっているので、家計が助かる」と話した。