お盆直前なのに南海トラフ地震が心配、交通への影響も 気になる疑問「帰省してよいのか?」【コラム】

285系 サンライズ

気象庁は、8月8日午後4時43分頃に日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生したことを受け、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表した。

このため、交通への影響がでている。読者のなかには、「帰省してよいのか?」と気になっている人が多いだろう。本稿では訳あって災害対策に詳しい筆者が掘り下げて解説する。

日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生したことに伴い、南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会が臨時に開催された。地震と南海トラフ地震との関連性について検討し、南海トラフ地震の想定震源域では、大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっていると判断し、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表した。気象庁は今後1週間ほどは、巨大地震に備えるよう呼び掛けている。

南海トラフの情報が出たら、交通機関はどうなる?

災害対策基本法第36条において、鉄道会社などを含む指定行政機関・指定公共機関等は防災業務計画を作成することが求められている。今回の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表による対応は、この防災業務計画において定められていることが多い。


南海トラフ地震に備え、地震による揺れと、津波に特に警戒すべき地域が「南海トラフ地震防災対策推進地域」「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」として指定されている。これらの地域を走行する列車は、地震による揺れや津波に警戒すべく、減速運転や特急列車などの運休が実施されることになった。

JR東海は、東海道新幹線の一部区間で速度を落として運転するほか、特急「サンライズ瀬戸・出雲」や、主に紀伊半島を走行する特急「南紀」などを、1週間程度運休することにしている。その他の交通機関にも影響が出ている。

旅行や帰省は”NG”ではないが、地震への備えを

山陽新幹線 JR西日本

今回の南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表に伴い、気象庁は、巨大地震発生の可能性が相対的に高くなっているものの、特定の時期に地震が起きると断定できるものではないため、政府や自治体の情報に応じた防災対応を取るように呼び掛けている。

一方で、旅行や帰省については取り止めるような対応は呼び掛けられていない。地震による被害や南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)により影響が出ている交通機関を利用する際は、予定通りの旅行・帰省ができないことを考慮し、場合によっては旅行を取りやめたり、時期を変更するなどの対応が望ましい。

また、旅行や帰省に出かける際も、災害が発生する可能性に平時から留意し、特に「南海トラフ地震防災対策推進地域」「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」を中心に代替交通や避難場所を確認したり、災害のリスクが高い場所に近づかないようにしたりするなどの対応をするべきだ。

なお、旅行や帰省を取りやめる場合、交通機関に影響が出るなどして特別対応がとられていない限り、手数料やキャンセル料は自己負担となることにも留意すべきだろう。