「おめーの席ねぇから!」 トリップドットコムで購入したスリランカ航空のチケットが”空売り”だった話【レポート】

「おめーの席ねぇから!」というのは、とあるドラマの有名なセリフである。普通、それが許されることはなかなかない。なかなかないはずだったのに、飛行機に乗ろうとしたら、本当に席がなかった顛末をレポートしたい。

オーバーブッキングとは?

ANA JAL 羽田

オーバーブッキングとは、日本語でいえば「過剰予約」ともいう、航空業界や旅行業界ではよく使われる用語である。ほとんどの場合、キャンセルされることを見越して定員を超えて多めに予約を受け付けることを指すが、予約時のトラブルなどにより重複して予約されてしまうようなことに起因するものもオーバーブッキング(もしくはダブルブッキング)という。どちらにしても、平たくいえば「おめーの席ねぇから!」ということだ。

日本航空 JAL/JL エアバスA350-900 JA08XJ

航空会社がオーバーブッキングを受け付けること自体は、問題ない。だが、オーバーブッキング後の対応を誤ると、問題になることがある。例えば、2018年に日本航空(JAL)がオーバーブッキングした国内線の便の座席調整に失敗。定期便が欠航したうえ、搭乗予定だった乗客には補償として少なくとも2万円を配布するなどした。

NH/ANA ボーイング777-300 JA753A

「おめーの席ねぇから!」という状態は、必ず出発前までに解消する必要がある。航空機は定員を上回って出発することは許されない。全日本空輸(ANA)は2016年、定員を超過して空港を出発しようとするトラブルがあり、国土交通省から厳重注意を受けた。航空機の安全運航のためなので、もちろん日本だけではなく、世界共通のルールであることは言うまでもない。

実際にオーバーブッキングになったみたいだが…困惑

Trip.com(トリップドットコム)

2024年3月、筆者はインド・ムンバイからシンガポールに向かうことにしていた。いくつかの選択肢があったが、トリップドットコム(Trip.com)経由でスリランカ航空を予約した。コロンボ経由で3万円弱だった。筆者はワンワールドアライアンスのエメラルド会員(上級会員)だったので、なるべくワンワールドアライアンスの便で行きたいという思惑もあった。

予約したのが5日前だったが、その2日後、スリランカ航空ムンバイオフィスを名乗るメールアドレスから「Flight Over booked」というメールが届いた。本文が「Dear Sir, Greetings from SriLankan Airlines !!!!!!」から始まり、予約システム「アマデウス」と思われる文字列が乱暴に貼り付けられて説明されるメールをみて、呆れてしまった。どういうテンションで顧客にメールを送り付けているのだろうか…。

メールの内容は、スリランカ航空のムンバイ→コロンボ間の航空便がオーバーブッキングしたので、シンガポール航空のムンバイ→シンガポール直行便に振り替える、という内容。ただ、提案されたのは当初予定の前日に出発する便。約26時間出発が早い便だ。こういう振替は普通は時間が近い便を提案してくると思っていたが、もしかしてそういう常識は通用しないのだろうか…。

メールで、ワンワールドアライアンスの便で振り替えられるか確認したところ、梨の礫。直接やり取りをしても埒が明かなさそうだったので、発券した旅行代理店であるトリップドットコムのカスタマーサポートに連絡する。「いきなりオーバーブッキングの連絡が来たんだけど、把握してます?」「把握してないです」。それはそう。とはいえ、トリップドットコムのカスタマーサポート自体はしっかり対応してくれている印象を受けたので、しばらく任せることに。

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