昭和的西成ホテルも日々進化する「ホテルはつね」【はんつ遠藤の大阪・西成C級ホテル探検(21)】

さて、今回も恒例の館内探検である。廊下に出れば、やはり昭和的で若干暗く、どことなく物悲しい雰囲気も醸し出していたが、掃除が丁寧になされているので、嫌な気分は全く無かった。内階段ということもあり、階段自体にもゴミひとつ落ちていない。

各フロアには洗面所とトイレがあった。それと200円を投入するコイン式の洗濯機。

3階のトイレはウォシュレットでは無かったが、2階はウォシュレットタイプのようだ。

2階には24時間使用できるシャワールームがあった。フロントで受け取ったカギは2つあり、そのうちのひとつがこのシャワールームのカギだった。前回の「福助」の時もそうだが、シャワー難民にならないよう、夜のうちに浴びておくことを強くお勧めしたい。

「ホテルはつね」には大浴場もある。1階の奥で、外気に触れる離れのようなところにあるので、冬場は往復が寒いかもしれない。午後4時から9時までは使用可能だが、木曜と日曜は使用できないと書かれていた。ドライヤーはフロントで貸してもらえる。シャワールームには常備されている。

大浴場に向かう途中には洗濯機と乾燥機も数台設置されていた。使用は午後9時までという決まりもあった。

フロントは午後9時に閉まり、正面玄関のシャッターも降りるが、隣の扉から24時間出入りが可能なのも嬉しい。治安の不安が若干あるが、深夜ならともかく午後9時すぎでも出入りできるのは助かる。この時間ならばまだ何店舗か居酒屋なども営業中だが、最近コロナ感染者もまた増加中という事もあり、コンビニで料理&アルコールを購入して部屋呑みと相成った。

結局、夜中に騒ぐ人もおらず、あっけないほど自然に朝を迎えた。ひとつ注意しなくてはいけないのは、チェックアウトが午前10時ではなく、午前9時までである点。フロントは閉まったままで、カギは部屋の冷蔵庫の上に置き、勝手にチェックアウトするスタイルで、チェックインの時に、そう説明ある。

過去の宿泊経験から鑑みれば、ポットも電子レンジも設置されたり、無料Wi-Fiも順次増加中だったり、2階のトイレはウォシュレットだったりと常に進化を見せている事が伺えた。

正直なところ5月位までは1泊1,600円だったので、何の文句も無かった。しかし、物価が高騰している昨今とはいえ、現在は2,000円。

個別のエアコンが無く集中管理、アメニティも皆無、大浴場は午後9時まで、シャワールームは争奪戦。正直なところ、連載の過去記事を見て頂ければ分かるが、西成では千円台でもっと快適なホテルも多い。逆に考えれば、400円アップで更なる進化を遂げるのだろう。

そもそも、西成だけで考えずに他の地域からも見れば、まだまだ1泊2,000円とお値打ち価格。古さはあるものの清潔に保たれているし、十分に候補の1軒に入ると、僕は思っている。

■プロフィール
はんつ遠藤
1966年東京生まれ。早稲田大学卒。不動産会社勤務を退職後、海外旅行雑誌のライターを経て、フードジャーナリスト&C級ホテル評論家に。飲食店取材軒数は1万軒を超える。主な連載は「週刊大衆」「東洋経済オンライン」など。著書は「取材拒否の激うまラーメン店」(廣済堂出版)など27冊

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