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ANA、成田に新貨物ビル 既存施設集約、自動化推進で国際競争力強化
全日本空輸(ANA)は、成田空港に新設した第8貨物ビルをメディアに公開した。分散していた6か所の上屋を第8貨物ビルと既存の第7貨物ビルに集約し、「ANA Cargo Base+」と名付けて10月21日から供用を開始する。
第8貨物ビルは成田空港における貨物施設の分散や狭隘化対策として、成田国際空港(NAA)がA滑走路北側の貨物ターミナル地区に建設。ANAがNAAから借用する形で運用する。
延べ面積は約6.1万平米、上屋面積は約3.8万平米で、ANAの貨物上屋としては最大規模。既存の第7貨物ビルと合わせた上屋面積は計約4.8万平米となり、取り扱える貨物の量は従来から約25%増え、年間約50万トンとなる。また、これまで分散していた輸入上屋と輸出上屋が集約されることで、三国間貨物の接続時間は従来の300分から180分に短縮。需要が高まる欧米〜アジア間の三国間貨物輸送の利便性を高め、国際競争力の強化を図る。
施設内では、オペレーションの効率化や労働力不足対策として作業のオートメーション化を推進。輸出エリアでは無人搬送車(AGV)を60台導入し、貨物の搬送や蔵置を自動で行う。ANAによると、国内航空会社でAGVを本格導入するのは初めて。輸入エリアでは、パートナー会社の国際空港上屋(IACT) が5台の無人搬送フォークリフト(AGF)と、最大2,040枚のパレットを収納できる自動高層ラックを導入。搬入・搬出作業を自動化する。ANAによれば、空港ハンドリングにおけるAGFの導入は世界で初めて。複数のAGFと自動高層ラックを組み合わせたオペレーションは、空港以外の倉庫も含めて国内初だという。
また、医薬品や生鮮品など温度管理が必要な貨物への対応力を強化するため、国際航空運送協会(IATA)による航空輸送品質認証の「CEIV Pharma」や「CEIV Fresh」に準拠した保冷施設を新設。面積は現行上屋の5倍となる1,644平米で、冷凍・冷蔵・中温の3温度帯を完備し、全室で温度マッピングとモニタリングを行う。
成田空港では、新滑走路の建設や既存滑走路の延長を伴う機能強化計画が2029年3月を目指して進められている。政府の国家戦略特別区域諮問会議は8月、国際的な航空物流拠点として成田空港の機能強化を進める方針を確認。有識者や自治体の委員による「新しい成田空港構想」でも、東アジア地域における貨物ハブ空港を目指して具体的な方針が示されている。
記念式典であいさつに立ったANAの井上慎一社長は、「2029年の“第二の開港”とも言われる機能強化に先駆けて、ANAがデジタルを駆使した新しい航空物流拠ハブの形を実現することは、『新しい成田空港構想』に大きく寄与する」と強調。「新上屋の供用開始によってANAの貨物事業に重要なピースが加わり、世界のライバルと戦う準備が整った」と自信を示した。