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「ANAグループグランドハンドリングスキルコンテスト」、伊丹空港で初開催
全日本空輸(ANA)は11月12日、第1回「ANAグループグランドハンドリングスキルコンテスト」を伊丹空港に隣接するANA機体格納庫で開催した。
各空港でグランドハンドリング業務を担当する11のグループ会社が集まり、「搭降載」と「プッシュバック」の2つの部門で、技術を競い合った。
搭降載部門は格納庫内で実施され、3人1組でチャレンジ。作業の流れは、飛行機の貨物室を模したエリアにベルトローダー車とドーリーを連結したトーイングとラクータを運転して所定の場所に配置。荷物をドーリーに搭載したコンテナに詰めたら、そのままハイリフト車まで移動。ハイリフト車は2台が連結されており、コンテナを載せてリフトアップし反対側のハイリフト車へと移動させ、リフトダウン。そのコンテナを、トーイングトラクターを運転して移動させたドーリーに載せ、所定の位置まで12分の時間制限で運ぶというもの。
搭載する荷物は、コンテナがほぼ満杯になる量に設定されており、サイズもスーツケースから段ボール、さらには紙袋や傘とバラバラのため、効率良く積み込む必要がある。
順位をつけるポイントとしては、声掛けや誘導などが正しく行われ、作業者間の連携がとれているかどうかや、重量物などを下段のほうに搭載し、軽くて小さい手荷物は上段のほうに搭載することで、破損しないようにするといった、後工程を考えて作業できているかどうかなど。
また、制限時間があるタイムプレッシャーのある普段と違う状況下の中で、いかに平常心を持って作業に当たれるかもポイントとなっている。
プッシュバック部門は、ANA機体格納庫の屋外で実施。プッシュバック訓練用のトーバーを装着したトーイングカーを運転し、90°の角度を曲まがって、所定のラインを外さずにマーキング位置までプッシュバックできるかを競う。制限時間は2分間で、順位をつける上でのポイントは、乗客を考慮した発進・停止を意識しながら、規定されている「人が歩くスピード(時速4km)」程度でスムーズにプッシュバックができているかどうかや、搭降載と同じく制限時間のあるなかで、平常心で行えるかどうかがポイントとなっている。
審査員は、ANAグループで全国に56名しかいないマスターインストラクターのうち、14名が担当。マスターとしての目、現場としての目で審査が行われている。
参加したのは、松山空港チーム(ANAエアサービス松山)、関西空港チーム(ANA関西空港)、中部空港チーム(ANA中部空港)、新千歳空港チーム(ANA新千歳空港)、福岡空港チーム(ANAエアサービス福島)、佐賀空港チーム(ANAエアサービス佐賀)、成田空港チーム(ANA成田エアポートサービス)、沖縄空港チーム(ANA沖縄空港)、羽田空港チーム(ANAエアポートサービス)、福岡空港チーム(ANA福岡空港)、伊丹・神戸空港チーム(ANA大阪空港)の全11チーム。
審査の結果、総合部門最優秀賞は羽田空港チームが受賞。プッシュバック部門も羽田空港チームの小笠原栄一さんが受賞している。今回の勝因として小笠原さんは「押してみた感じ、似たような場面が羽田でもあったので、それと同じようなイメージで押すことができたのが良かった」とのこと。また搭降載に関しては「目指すべきところが3名同じだった。その気持ちの強さ」を勝因として同チームの浜谷英美さんは話していた。
搭降載部門は伊丹・神戸空港チーム、そのほかの部門賞として指差呼称賞に羽田空港チームの浜谷英美さん、グッドコミュニケーション賞には成田空港チームがそれぞれ受賞している。
ANAではこれまで各空港やエリアごとにグランドハンドリングスキルコンテストは開催してきたが、全国を対象としたコンテストは初めての開催。規模を大きくして開催した目的として、グランドハンドリングの認知度を上げ、採用につなげるとともに、離職抑制に取り組む必要を感じているため。
開会の挨拶として登壇した、ANAオペレーションサポートセンター長の小山田亜希子氏は「今は人材不足のグランドハンドリングですっかり有名になってしまったが、これからは格好いいグランドハンドリング、人気なグランドハンドリングということを世の常識にしていかなければいけないと思っており、このスキルコンテストは非常に大きな意味を持つと思う」と話していた。
また、ANAオペレーションサポートセンター 空港サポート室グランドハンドリング企画部 部長 曽原倫太郎氏は、今回コンテストを開催した狙いとして、「現状足元では、ハンドリングに支障をきたすことはないものの、今後は来年の関西で万博もあり、さらに人材の確保をしていく必要がある。全国の仲間たちと切磋琢磨しながらたたえ合う。そういうことで、まずは仲間の中でモチベーションを高めていきたい。そしてグランドハンドリングのような影の努力というものを社会や学生のみなさんに伝えたい」とし、来年以降も引き続きの開催、さらには規模の拡大についても期待していた。