
JAL、エアバスA350-1000型機7号機を受領 あす羽田到着
全日本空輸(ANA)は4月26日、ルフトハンザ・テクニックとBASFが共同開発したリブレット加工フィルム「AeroSHARK」を実装したボーイング777型旅客機(機体記号:JA796A)をアジアで初めて就航させた。
「AeroSHARK」フィルムは、サメ肌の摩擦抵抗を低減する構造に着想を得た機能性表面フィルム。その特徴は、深さ約50マイクロメートル程度(髪の毛1本分程度)の微細な凹凸がフィルム表面に施されていること。この特殊な加工により、機体表面に発生する空気の流れが整えられ、空気抵抗が低減。その結果、航空燃料使用量と二酸化炭素(CO2)排出量の削減が期待される。
フィルムは透明で、1枚あたり幅約1メートル。高さ0.5メートルの大きさ。コックピットエリア、主翼、後方の垂直尾翼の一部をのぞいた機体胴体のおよそ7割の面積に貼付されている。フィルム自体の重量は約120キロ増加するが、これも加味した上で約1%の燃費改善が期待されている。
今回就航した機材は、旅客機のボーイング777-300ER型で、2024年9月2日より就航している貨物専用機(機体記号:JA771F)への実装に続く2号機目。ANAは、ボーイング777型機の旅客機と貨物専用機の両方にAeroSHARKを導入した世界で初めての航空会社となる。
初便は東京/羽田発ロンドン行きのNH211便で、搭乗ゲート付近には「AeroSHARK」を貼り付け、搭乗者が実際に触って感触が確かめられるパネルを展示していた。また機体のL1・L2ドア付近にはプロモーションデカールが貼られており、搭乗時に「AeroSHARK」採用機であることが確認できるようになっている。
企画担当者であるANA整備センター技術部787フリートチームの松井宏司朗氏によると、先行して就航した貨物機での効果検証では、本技術の実装による燃料消費量およびCO2排出量の削減効果が、当初想定通りの約1%であることが確認できているとのこと。これは、機体1機あたり年間約250トンの燃料消費量および約800トンのCO2排出量削減に相当する。
貨物機での運用では、現時点でフィルムに特に大きな汚れや劣化は目立っておらず、定期的な機体洗浄も通常機体と同じインターバルで実施されており、燃費向上効果を除けば、オペレーション上の大きな違いはないと説明した。
フィルムの推奨張り替えサイクルは4~5年程度とルフトハンザ・テクニックから提示されているが、ANAでは自社の運航環境におけるフィルムの劣化状況を見ながら、最適な張り替え時期を見極めていく方針とのこと。
3号機目以降の導入については、これら2機での効果モニター結果を踏まえて決定していく予定。ただし「AeroSHARK」は現状、ボーイング777型機用しかラインアップがないため、早期に他機種へ採用することは難しいと話していた。